丸の内讃歌

酔ったと思える日

体は重い

頭は働かない

からだ全体にスライムがまとわいたと錯覚するような日。

そんな日だ。


本来であればそんなことはないだろう。

ただ紫煙を燻らせ、すごす事のできた日々

今日は違う。

頭がどうにも重い。

何も思い浮かばない。
なにも考えることができない。

丸の内で倒れる。
彼の会社を尻目に。

昔はあの会社に入るんだと。

あの会社には入れるんだと。

俺は一千万を一年で稼いでやるんだと。

そんな思いばかりが募り、なにもしてこなかった。

しかし現実は違った。

努力したものが報われる。

努力しなかったものは報われない。

それがどんな努力だとしても。

俺は八重洲に立つ。

茅場に立つ。

丸の内に立てなかった男だ。

今に見てろ、丸の内の男よ。

お前ら、なんぞそのうち倒してやる。


そんな思いでガラスを傾ける。

あぁ、丸の内よ。

また会う日まで。

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