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武器マスターはレベル-100から始めます。

第一話(レベルー100)

バーチャル世界クラウディアに入ると、真っ白い屋敷が目の前に現れる。屋敷の扉を開けると、歩けないほどのプレイヤーがひしめいていた。
「凄い数だなぁ。こんなに人気なのか?」
ザワザワとしていた雰囲気が、上から降りてくる
一人の男を見て静まり返る。

「ようこそ諸君、Battle.of.Crimeの世界へようこそ」
騎士の格好をした大手のゲーム企業のヴァールガンダでCEOの田山壮一が現れると、歓声が沸き起こる

「これから行われる一ヶ月のサバイバル、最後に1人だけ生き残った者には、莫大な賞金が授与される」田山壮一の言葉にボルテージが最高潮に達する中、高藤有志は無言で話を聞いている。

「諸君、さぁその手で掴み取るんだ。自分の未来を、まずは出発するフィールドを選ぶのだ」

プレイヤーの前に現れる5つのドア、どこに
行くのかわからない。臆することなくドアを開けて
入っていくプレイヤー達を壁に寄り掛かりながら、
観察していた高藤有志もドアの前に立つ、直感を頼りに右から二番目のドアを開け中へ入る。

ドアが消えると、周りはビル群で街灯もない道を歩く。誰もいない公園のベンチに座り、自分のステータスを確認する。

「しかし……なんでLEVELー100なんだ?」
他のステータスも確認、攻撃力・防御力・体力、その他諸々のステータスが圧倒的に低い。頭を抱える
このパラメーターでどう戦えばいいのか悩んでいると、3人組のプレイヤーが公園に入ってくると、ベンチの前に立つ。

「なんだ、おっさんかよ」
同じプロテクターを装着した青い肌をしたトカゲが
こちらをジロジロと見てくる。
「どうする?やるか」同じくプロテクターを装着した赤いトカゲが腰に装着したマチェーテを取り出し
ちらつかせる。
「あぁ、仕方ない。おっさん悪く思うなよ」
プロテクターを装着した黄色の肌のトカゲは、ボウガンを高藤有志に向ける。

3対1……圧倒的不利
今の状態で戦っても負けると分かってる。
どうここから逃げ出そうかと考えていると、
赤いトカゲがマチェーテを振りかざす、左に避け地面に転げ落ちる。地面の砂利を手に取り投げつけるとトカゲの3人の動きが止まる、その隙にダッシュで公園を出ると、後ろを振り返らずに走る。

10分以上、走り続けているとピコンピコンと
音が鳴る「マジかよ、嘘だろ」
体力ゲージが下がってる。暫くは走れないと回復してくださいと表示され愕然とする。

周りを確認すると、人の気配すらない場所にいた、
ポツンと1人、道の真ん中を歩いていると小さな光が見える。

「なんだ。あの光は?」
光に寄ってくる虫のように、何も考えずに店の
ドアを開け中へ入ると、武器や防具や魔法の本、その他の見たことないものが所狭しと置かれていた。 
カウンターへと歩くと、白髪の爺様がこちらを見ていた。

「いらっしゃい。」
「あの、ここは……道具屋ですか」
白髪の爺様は紙を1枚、高藤有志に渡すと
「そうじゃよ、あんたがはじめかな?」
「はい、そうです。」
「それじゃあ、初回特典でこの中から無料で1つ、持って行きなさい」

紙に書かれた無料の商品の中から選んだのは
刃こぼれした刀2本を腰に装着する、人を切ることはできないが、何もないよりは100倍ましである

「ほぉ、似合うじゃあないか。そうだ、スマホはあるかい?」
ポケットからスマホを取り出すと、白髪の爺はスマホに地図をDownloadしてスマホを渡す。

「本来は金を取るが、今回は無料で地図をスマホにいれといたから、これはサービスたからなぁ」
「ありがとうございます、それじゃあ、俺はそろそろ行きます」
「ちょっと待て、この世界のルールは知っているのか?お金はあるのか?」

ルール……お金……忘れていた。
5年前にやっていたVR.MMOとは違うことに今気づく、前作のゲームBattle.of.crisisよりパワーアップ
武器や防具だけじゃなく魔法や道具もボリュームアップ、そしてフィールドも増えたという。
そして今回のBattle.of.Crimeは各フィールドには
BOSSがいるらしく、そのBOSSを倒さないと次のフィールドには進めないらしい。

白髪の爺様から話を聞き終わると
「それじゃあ、行きます。」
「お金は絶対に稼ぎなさい。お金は大事じゃぞ」
後ろから聞こえる声を聞きながら店の外へ出ると、
店が消える。

再び、薄暗い街灯の下を歩き出す。
「ん?あれはなんだ」
ガサガサガサガサ、ゴミ置き場の近くに蠢く生物に
警戒する高藤有志。

数体がこちらに歩いてくる、街灯の下にくると
姿を現す。巨大なドブネズミが3匹、こちらをギョロと見る。さっき貰った刃こぼれの刀を二刀流で構え、高藤有志は先制攻撃する。一匹のネズミに二刀流がクリーンヒット、

それを見た二匹のドブネズミが攻撃、
その攻撃をギリギリで回避、
二刀流を大振りで振りかざし、
二匹のドブネズミの胴体に叩きつける。
短い悲鳴を上げると二匹のドブネズミは姿を消す。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
乱れた息を整えると、刃こぼれの刀を鞘に収める。
ステータス表示に経験値とお金が表示される
経験値5.お金8に(少ねえなぁ。)とここの声が漏れる。

その場からすぐに離れる。薄暗い街灯は道から
大きな道に出る、車が行き交う余裕があるほどの
広い道を歩き続けると、聞き覚えのある声が
聞こえてくる。咄嗟に建物の影に隠れ、半分顔を出すと声が聞こえる方を見る。

3匹のトカゲが高藤有志をさがしていた。
「いたか?」「いや、いない。そっちはどうた?」
首を横にいる「くそ、アイツ。今度会ったらぶっ殺してやる」青のトカゲが悔しそうな顔をしていると
薄い布を被った小柄な男が通り過ぎていく。

「おい!そこのお前」
黄色のトカゲがホウガンを向けて近づく、その後ろを、青・赤のトカゲもついてくる。
「おいお前、金をおいていきなぁ」
青色のトカゲが言う。後ろにいる赤いトカゲは
マチューテをちらつかせて「金だけじゃあねえ、持ち物全部、置いていきな」
「おい、聞いてんのか?てめぇ」 
黄色のトカゲが被っている布を放り投げる。

武道着を身に纏った青年
眼光鋭い目で3匹のトカゲを見ると
「なんだ、ガキじゃねえか。うぐぁぁ」
プロテクターに拳がめり込むと、黄色のトカゲは
その場に倒れる。

「てめぇ、」赤いトカゲは青年にマチューテを
振り下ろすが、青年は涼しい顔でマチューテを指2本で止める。「くそ、こいつ」真っ赤な顔をしながら
力づくでマチューテを動かそうとするが動かない。
それをチャンスとみた黄色のトカゲは、ボウガンを構え青年に向けて発射、鉄の矢を左の蹴りではじく
はじいた鉄の矢は黄色のトカゲの胸に刺さり、仰向けに倒れ動かない。

赤いトカゲはマチューテから手を離すと、背を向けて逃げ出す。指2本で持っていたマチューテを投げると、マチューテが頭に刺さり赤いトカゲは倒れて
動かなくなる。

「な、なんなんだアイツは強すぎだろ…」
建物の影からずっと戦いを見ていた高藤有志は
唖然としていた。さっきのドブネズミの戦いがやっとの自分と、今の戦いの差に落ち込む

武道着を身に纏った青年は、こちらにみていた。
「もう大丈夫ですよ。」その言葉を信じて建物の影から外へ出ると、恐る恐る青年へ近づくと「ありがとう」と返事をする。

屈託のない顔をすると、「高藤有志さんですよね?」
「そうだけど、君は俺の名前を知っているのか?」
「はい、当たり前じゃないですか。だってあなたは俺のヒーローだから」「俺がヒーロー?」

高藤有志は困惑していた。







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