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創作大賞2024・漫画原作部門ANTI・HERO(第2話)

「簡単な仕事もできない、挙句の果てに人間ごときにこのザマ、だから鉄の塊にしたのさ。」
信じたくなかった。、現金輸送車があんな鉄の塊になるとは、コイツの能力はヤバイと一瞬でわかると、心臓がバクバクと脈打ち息が荒くなる。
「うっ、うっ、あ、」身体をジタバタと動かし、鉄骨を抜こうとするウィンド・ミルズ、それに気を取られる伊藤・ガルシア、それがまずかった。
一瞬のうちにウィンド・ミルズが刺さった鉄骨が引き抜かれると、細い鉄の棒がむきだしになった野球ドームの天井に飛ばされ身体に突き刺さり絶命する。「やっと死んだか。」その言葉に切れた、頭よりも身体が先に動く。右ストレートがマグネ・テイラーの顔面を捉える。しかし顔色変えず目だけ動かす「久しぶりだよ、痛みを感じたのは、油断したよ。」
マグネ・テイラーの左手が伊藤・ガルシアの
メタリックスーツに触れると、強い磁力波を
発生させる、避けることもできず直撃をくらう。
フェンス、観客席を突き抜け、外に放り出される。砂埃が舞う中マグネ・テイラーは空いた穴を歩き外へ出ると、眩しい光が照らす。
「動くな、そこまでだ。」
迷彩の特殊スーツの集団がそこにいた。対ヒーロー用の特殊ライフルを構えた集団が目の前に、
1人の男が前に出る。
「おやおや、ガルシアじゃないか?どうした、だいぶ苦戦してるじゃないか。」
倒れているガルシアを見下す、その男の名はクリス・山本、大企業のhuman.defense.agencyの
ライバル社でexpel.the.enemyの社員であり伊藤・ガルシアの高校時代の先輩になるが、まさかここで合うとは思わなかった。
「山本先輩ですか?なんでここに。」
「それは言えないなぁ、それよりあいつは誰だ?」指を指すクリス・山本
「アイツは最近、世間を騒がしているグリフォンのメンバーです。」
グリフォン?その言葉に目つきが変わるのを、ガルシアは見逃さなかった。
「おい、あれを用意しろ、早く。」
命令を聞いた隊員数人が、巨大なトレーラーのコンテナに入っていく、数秒後、コンテナから黄色の塗装を施した、対ヒーロー用戦闘ロボットが姿を現す、一列に並ぶと。
「お前ら手加減するなよ、やれ。」
「おい待て、早まるな。」
戦闘ロボット数台がマグネ・テイラーに、一斉に襲いかかる。「ザコは引っ込んでろ。」
両手を前に振りかざすと、戦闘ロボットは四方八方に飛ばされる。
「怯むな、撃て、撃て、」
対ヒーロー用戦闘ロボットがあっさりとやられ、
焦ったクリス・山本は発砲を許可すると、一斉射撃、弾なくなるまで撃ち続ける。
「やめろ。」
クリス・山本の命令で撃つのをやめると、
「嘘……だろ。」隊員達はライフルを構えたまま
固まっていた。発砲したライフルの弾が空中に
浮いていた。夢を見ているのか?いや夢じゃなかった。次の瞬間。
「うぁぁぁぁぁ。」
止まっていたライフルの弾が隊員とクリス・山本へ槍のごとく向かって来た。避ける隙も与えず命中、隊員数人が地面に倒れる。
クリス・山本も右肩を負傷「なんなんだコイツ、歯が立たない。」
さっきまでの威勢はどこに、ガタガタと震えだすクリス・山本と隊員達とその様子を鼻で笑うマグネ・テイラー。
「死にたくなければ失せろ」
「まだだ、怯むな、怯むな、戦闘ロボットを出撃させろ。」
クリス・山本の合図により、また数台の対ヒーロー用戦闘ロボットが現れると、マグネ・テイラーの周りにを囲い込むと一斉に攻撃するが、強い磁場に阻まれる
「そんなに死にたいなら、お望み通り殺してやろう。」対ヒーロー用戦闘ロボット数台は空中に舞うと、互いにくっつき始め、グシャグシャと潰れ始めると隊員達が空中に浮き、鉄の塊の方へ飛んでいく。1人、2人、3人、合計15人が吸い込まれていく。「た、助けてくれー、」鉄の塊と一緒に潰れると同時に、グチュグチュと内蔵と骨が砕ける音をたてながら、肉の塊となっていく。その鉄の塊をクリス達に向けて投げる。
避けるクリス・山本と隊員達は恐怖に支配される
「クリス隊長、ここは一旦退却しましょう。」隊員の1人が言うと、クリス・山本は
悔しそうな顔でクリス・山本は「一旦退却するぞ。」戦意喪失した隊員達は一目散に退散する。あいつら何しに来たんだ?そう思ったのもつかの間、また強い磁力に引っ張られ野球ドームの中に戻される。ゆっくりと歩き中へ入ってくるマグネ・テイラー、何かを考えながら。
すぐに立ち上がる伊藤・ガルシア、左腕を
マグネ・テイラーに向ける。earth.SHIELD社の最新技術の小型レーザー砲をまさか、こんな早く使うとは。
「その腕を降ろせ、お前の名前を聞いてなかった、お前の名前を教えろ。」
その言葉を無視して標準を定める伊藤・ガルシア、撃とうと思えば撃てるはずだった、
でも何故か撃てない、撃て、撃てと、心で何度も叫ぶが撃てずにいると、距離を詰め伊藤・ガルシアの左腕を掴んだ瞬間、眩しい光が2人を包み込む。レーザー砲が咆哮、光の柱がマグネ・テイラーを直撃と同時に、撃った反動で後ろに飛ぶ。激しい爆風と爆発音が野球ドームを包み込む。
「や、やったのか?」
あのレーザーをまともに喰らったのだから、生きているはずがない。このレーザーは当たると身体の内部を破壊するそのレーザーが直撃、流石に死んでいると思った。砂埃と煙が少しずつ消えていくると希望が絶望へと変わる。
「おいおい、いきなりそれはないだろ?」
左腕の力が抜けダラーンとなる。顔から汗が出ると同時に、心臓の鼓動が早まる。
為す術はなかった、最後のレーザーが効かない以上、どう悪あがきしようか考えることもできなかった。ほぼ無傷のマグネ・テイラーは伊藤・ガルシアの前に立つと、
「さっきのあれはレーザー砲かな?人間もつまらんもんつくりやがって、それより君の名前は?」
迫力に圧倒される伊藤・ガルシア
無理やり声を絞り出す。
「伊藤・ガルシア」声は震えていた。
名前を聞いて満足したのか、両肩に手を置くと
「ガルシア、お前は人間なのか?」
その質問に驚く、何故その質問をするのか
一瞬理解はできなかったが、この質問を答えなかったら死ぬ事だけはわかった。
「俺は人間だ。」
両肩に置いた手を振り払い、一歩後ろに下がると
満足した顔でこちらを見る、マグネ・テイラー
「そうか、ヒーローじゃないのか、ならヒーローになりたいと思わないか?」
「ヒーローになるだと?ふざけるなぁ、お前はヒーを名乗る資格はない。」
目の前にかつてのヒーローがいるが、その面影がなかった。ヒーローからヴィランへと変貌を遂げた敵がここにいる。
こいつは俺が倒さなければならない、なにがあっても。コイツだけは、コイツだけは、許せない
「人間は非力な生き物、力も精神も肉体も脆弱
だがお前は違う。今まで闘ってきた人間の中で1番、ヒーローになれる素質がある。お前は自分の可能性に気づいてないだけだ。どうだ?私の組織に入らないか?」「なにを言っている。俺は自分に満足している。それ以上ヒーローを語るなぁ。」
一直線に走り出し助走をつけてジャンプすると、
空中で身体を捻り、渾身の回し蹴りがクリーンヒットのはすが、右腕で止めると足を掴み、地面に叩きつける。「ぐはぁぁぁ。」叩きつけられた衝撃でパワーが100パーセントから80まで低下、ぐったりしているところをさらに持ち上げ叩きつける。何度も、何度も、はぁはぁと息を荒らげながら、ぐったりとしている伊藤・ガルシアの身体を足蹴り数メートル吹っ飛ぶ。「どいつも、こいつも、私を拒絶しやがって。この私がヒーローにしてやるって言ってんだよ。」気絶寸前の意識の中で、1人のヒーローを思い出していた。ヒーローのカリスマ、ダレン・パワート゚は唯一無二のカリスマであり全ヒーローが憧れる。だがコイツは
違う、コイツは、コイツは、ヒーローではない。
ヴィランに魂を売った。ヒーローの名を汚す奴は許さない。なのに自分の力の無さに涙が出る。
さっき何回も地面に叩きつけられ、パワーが低下し動けなくなっていることにより気づき絶望、
逃げようにも逃げられない、ただ祈っていた。
助けてくれと、ただ1人に祈っていた。
ダレン・パワードに、憧れのカリスマヒーローに
確かに俺は手術して、人間が持つ最大限の力を引き出した強化人間になって。会社から提供された最新技術のメタリックスーツを装着、これならヒーローに勝てると思っていたが、全然駄目だった、足元にも及ばなかった、意識が薄れていく。
「さぁてと、こいつはどうするかなぁ。」
頭掴みサンドバッグ状態、激しい打撃音が野球ドームにむなしく響き渡る。口周りを覆っていたマスクが壊れ、メタリックスーツにヒビが入る。
意識が飛びそうにもなりながらも踏みとどまるが
もう限界だった、最後の抵抗をしようと発射した
小型ミサイルも焼け石に水、横っ腹に蹴りを入れると、糸が切れたマリオネットのように、ぐったりとなる。「死んだか?やっぱり人間は脆い、脆すぎる。だから楽に死なせてやるよ。」ゆっくりと歩いてくるマグネ・テイラー、大の字のまま野球ドームの天井を見る。「このまま、死ぬのか?俺はなんのために手術して、なんのために戦ってきたんだ?俺は憧れていたんじゃないのか?ダレン・パワードに、ヒーローになれなくても。」
ボロボロの身体をを引きずりながら、向かっていく。さっきまでの力強いパンチではなく、弱々しいパンチをマグネ・テイラーの胸に当てるが、
「なんだ、このパンチは。」軽く手のひらで押すと
倒れる。起き上がろうにも力が入らない、もう気力だけで立っていた。俺が、俺が、俺がコイツを倒す。絶対に、絶対に、「俺がお前を倒す。」 
左のハイキックが空振りすると、マグネ・テイラーの右ストレートが顔に直撃、吹っ飛ぶとフェンスを突き抜け観客席にめり込む。意識を失い気絶
した伊藤・ガルシアを目の前に、連れてくると
「やっと、静かになったか、」



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