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俺をモブキャラと呼ぶな・第七話(ようこそ・Dead.city)

ジムとチェイスは聞くのをやめた。
真顔になるバロンは
「さぁ、どれにする?あと言っておくが、君と相性の良い武器を買いなさい」

床に置いてる武器を慎重に選ぶが、結局、1番安い武器を選ぶハメになる。
鉄パイプと釘バットを購入する
2つ合わせて500ジル、ぼったくりじゃないかと
思いながらも、ジムは電子機器を手に持ってバロンが持つスキャナーに通す。

「毎度あり、あと初回特典のプレゼント、持って行きなさい」

バロンはデジタルの時計を2人に渡す。
腕に装着すると、体力・健康状態・次のレベルまでの経験値が表示される。

「なんだ?この時計は」
「体力?健康状態?経験値?どういう意味だぁ?」
バロンはその時計について説明を軽く話す。
その真剣を話を聞く、話が終わると、バロンから買った鉄パイプと釘バットを受け取る。

デジタル時計には武器の特殊効果が表示される。
釘バットは数回に1回はクリーンヒットが炸裂、攻撃力が低いが耐久力は高め、鉄パイプはアンデッドに効果てきめん、ただし耐久力は低い。

武器の特性を把握、ジムは釘バット、チェイスは鉄パイプを装備すると「バロンさん、ありがとうございました。色々と教えてくれて、あと武器も」

バロンは床に置いてる武器をバッグパックにしまう途中、ジムとチェイスに投げると、それを受け取る
「それもサービスだぁ。もっといけ」
受け取った瓶はマキシマムドリンクのラベルが貼ってある。この世界の体力回復ドリンクを5本を無料でもらう。

バッグパックを背負うと、バロンは階段の方へ歩き出す。「それじゃあ、わしはそろそろ行くが、お主らら2人はどうするのじゃ?」

困った顔をしながら頭をかくジム、チェイスはバロンに近づくと
「いや、まだ決まってないです。」
それを聞くと、腰のホルダーに装着したリボルバーを手に取ると「なら、ショッピングモールへ行きなさい。」

「ショッピングモールですか?そこには何が?」
リボルバーに玉を装填する。
「それは君達で調べなさい、それじゃあまた何処かで会おう」
「あっ、ちょっと待ってください。」
ジムが話しかけるが、バロンは階段を駆け下りると
リボルバーと左手に装着した巨大ナイフでゾンビを一掃しながら下へと駆け下りていく。

「おい……あの動き見たよなぁ?」
興奮気味に言うジムに対して、チェイスは冷静を
装って「あぁぁ…あの爺さん只者じゃないなぁ、俺達も行こう」

階段を降りるチェイスと、その後ろにいるジム
通路にはバロンが一掃したゾンビ達が床に散らばり。頭や腕が無造作にあちらこちらに散乱していた
血生臭い光景にジムとチェイスは鼻を押さえる。

「この匂い、コレがゾンビの匂いかぁ」
両脇に倒れているゾンビに気をつけながら、ゆっくりと歩くチェイス、右手に釘バットを持つジムは
周りを警戒しながら歩いていると、仕留め残った二匹のゾンビが、前からふらふらと左右に揺れて歩いてくる。

「ジム、後ろに下がってろ」
チェイスはそう言うと、うまくゾンビと距離を取りながら、頭めがけて鉄パイプをフルスイング、前にいたゾンビの頭に直撃し床に倒れる。

フルスイングの隙をついて襲いかかるもう一体のゾンビ、「危ないチェイス」ジムは釘バットでゾンビを攻撃すると、床に倒れると、何度も何度も釘バットで頭部を叩き潰すとゾンビは動かなくなった。

「おい、やめろジム」チェイスがジムの手を強く握る。ハッと気づくと、ジムは釘バットを下に降ろす。

「「ジムありがとう。」
「あぁ、チェイス危なかったなぁ」
「先を急ごう」
再び歩き出す。階段を下に降りていく。
1階の大広間から、刑務所の出口へと向かう途中に
隊員のゾンビを数人確認、ゾンビに喰われていた遺体も発見、おそらくほとんどの隊員達がゾンビに喰われたか、ゾンビになったのだろう。

無人の検問所を通過し門の外に出ると、 
放置されたバスや車が道を塞ぐ、遠くの方では
家が燃えているのと、動物や人間の声とは違う奇声が聞こえてくる。

ジムとチェイスはガードレールを跨いで、放置された車により狭まった道の方へ歩いていく、
「なぁ、ショッピングモールってこっちなのか?」
歩くジムの後ろで、バロンから貰った電子機器をいじるチェイスは「あぁ、そっちであってる、しっかしこの電子機器はスゲーな、こんなに小さいのに、いろんな機能がありやがる。」

「へーそうなのか、その機器の名前はあるのか?」
チェイスは電子機器いじると
「なるほど、これは最新の電子機器でファイブスというらしい。」

「ファイブス?その電子機器の名前か?」
「あぁ、そうだよ。ん?なんだと!」
ファイブスをいじるチェイスは空返事するが、ある画面を見た瞬間、叫び声を出す。
「どうした?ジム」後ろに振り返ると、チェイスは
ワナワナと震えていた。
「この世界にいられるのは一ヶ月、その期間に、この世界を支配するボスを倒さないとこの世界から一生出られないだってさぁ」

ファイブスの画面を覗き込むジム、信じられないと言わんばかりの顔で、「一ヶ月…そんなに時間はないなぁ、よし、とりあえずショッピングモールに急ごう。」ファイブスをポケットにしまうと、うっすらと見えるショッピングモールへと歩きだす。

ショッピングモールへと向かう1台のテレビ社用車
運転しているカメラマンのデビット、足をボックスを投げ出しタバコを吸うプロデューサーのカール。
後部座席で資料を読むメリッサの3人は、3種の神器が奪われた情報を求め、別の世界からワープゲートをくぐってやってきた。

いくつかの都心や街で情報収集をしたが、3種の神器に関わる手掛かりはほぼゼロ、そして最後にやってきたのがDead.cityだった。しかしそれが後悔へと
変わるのにそう時間はかからなかった。

都心へ入るやいなや、アチラコチラで火災が起き家が燃え続ける。電柱や看板も倒され、車が道を塞ぎ
その車に群がる死者の住人達は、逃げ惑う人達を見つけると追いかけ始める。

その光景をテレビ社用車から見ていたカールは
「おいデビット、カメラ回しているか?」
「プロデューサー……こんな場所から早く逃げましょうよ。命が幾らあっても足りませんよ。」
カールはデビットの頭をグーパンチて小突く。
「馬鹿野郎、こんなビッグチャンスを逃すわけないだろ、なぁメリッサ?」

化粧ポーチから口紅を取り出すと口紅を塗るメリッサは「そうね。つまらないニュースを喋るぐらいなら、ハイリスク・ハイリターンを選ぶけど、ただしギャラは上げてくれるのよね?」

カールをつぶらな瞳で見つめるメリッサにたじたじになりそうになるが、ギリギリで踏ん張ると「わかった、帰ったら社長に交渉してみる」
その言葉に満麺の笑みを浮かべるメリッサは
「ねえ、ショッピングモールはどこにあるの?」
カールは指を指す方向には、うっすらとショッピングモールが見える。

バンバンと社用車の周りに集まってくる叩くゾンビ達、十字路の交差点を横切っていたゾンビの群衆が、こちらに気づいたのか方向を変えて向かってくる。

「おい!デビット、ショッピングモールへ行くぞ。すぐに車を発進させろ。」
あわててシフトレバーをPからDにいれてアクセルを
踏む、車にいる数体のゾンビを轢くながら右へと曲がっていく。

三車線の道路が放置された車や電柱が邪魔をして、
一車線になった道を徐行運転、デビットはふと目線を上に向けると、いつ落ちかけてもおかしくない標識にはようこそ・Dead.cityへと、その下にはショッピングモールまでの距離5キロと表示されていた。






















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