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死体は腐らない

私が意識の世界を知ったのは

ある宗教の人に「死体は腐らない」

と言われた時。

飼っていた鳥が死んで、私はその時、不思議な物を見た。

鳥は嬉しそうに霊体となって、部屋の中を飛び回っているのだ。

目前の死骸と、あまりに嬉しそうに飛び回る、少し透けた鳥の霊体との差に

愕然とした。

けれど私はその後、死体は腐らない。

の話を思い出した。

夏だった。

直ぐに埋めないと、腐ってしまう温度。

けれど私はその時不思議と、試そうとしてしまった。

「この子の死体は腐らない」

すると、今まで見えていなかった「死体は腐る」と言う常識が

もの凄い重圧でのしかかってきた。

まるで重い雲のように。

私はその凄まじい重圧の中、必死に貫き続けた。

「腐らない!!!」

…正直、もの凄くしんどかった。

なんでこんな事してるんだろうと、後悔するほど疲れ果てた。

けれど一週間。

布を被せた小鳥の死骸の前で、私はそれを続けた。

三日で、ヘタをすれば一日で、腐臭がする程の気温の中。

一週間経っても、腐臭はしない。

毎日一度布を取り退け、確認するが…。

安らかで眠っているような鳥の死骸は、一週間毎日

そのままだった。

奇跡は起こった。

けれど私は疲れ果てた。

奇跡は起こせる。

けれどそれに使う精神力は、並半端じゃなかったからだ…。

ほぼ100%の人が「死体は腐る」と思っている。

その常識の重圧を、たった0コンマ幾つの私が

ありったけの精神力を振り絞り

否定し跳ね退け「腐らない!!!」

と叫び続けるのだ…。

だから簡単に超能力が手に入る、奇跡は起こる。

と思ってる人達を見ると、呆れる。

奇跡は起こせる。起こせた。

が、それには凄まじい精神力が必要。

どれだけの反対の重圧があろうが、貫き通す意志と精神の強靱さが必要。

…けれど。

その精神力があれば、奇跡は起こせる…。

一週間。

小鳥は真夏の温度の中で、少し細くなった程度で

亡くなった時とほぼ変わらず

安らかな眠りについていた。

触れてみても、少しも気持ち悪く無く、不気味ですら、無かった…。

羽毛は柔らかく、手に取ると、ほんのり暖かい。

奇跡は、起こせる。

けれど私は、その時の凄まじい重圧の、常識との戦いを思い返すと。

再度あれをやるには、余程の根性が要る。

と、思い知った。

逆に言えば。

それだけの想いがあれば。

常識を跳ね退ける、強靱な精神力があれば。

奇跡は、起こる。

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