花火大会は自分の目と耳で楽しむもの

数年前から花火大会で写真や動画を撮るのをやめました。
その結果花火大会が本当に楽しめるイベントに変わりました。花火の奥深さや真の楽しさ、美しさを知ったような気がします。
その楽しさを知った今、もう花火大会を写真や動画に納めようと試みることはないでしょう。絶対に肉眼で見て、耳で聞いた方がいい。

田舎暮らしを始めて最初の数年は花火大会にデジカメを持ち込み、撮影していました。三脚を使ったり、防波堤にデジカメを置いたり工夫をしましたが、あまりいい写真は撮れませんでした。動画はそこそこ綺麗なモノが撮れましたが、所詮は動画。本物の花火の迫力にはかないません。

湾を挟んだ対岸の花火を毎年ほぼ貸切状態の特等席にアウトドア用の椅子を置いて、鑑賞しているのですが、もうこれが最高なんです。人混みもない。喧嘩や争い事もない。輩もいない。焼き鳥の串やとうもろこしの食べカスも落ちてない。
一度だけ隅田川の花火大会に行ったことがありますが、歩き回っても全然観れなくて疲れ果てたことしか記憶にない。

田舎の花火は終始穏やかな気持ちで花火を堪能できます。
「たーまや〜〜〜」と言いたければ自由に言えるし、言わなくても勝手に花火は上がる。自由気ままにマイペースで楽しめます。

ひゅ〜〜〜っと音を立てながら舞い上がる。
一瞬、爆発の閃光が煌めく。
下に落ちながら広がってゆく。
数秒後、音がこちらに届く。

基本的に花火大会はこの繰り返しです。
音と光の芸術と言われますが、このシンプルな繰り返しをどれだけ楽しめるかです。

「むむむ、この閃光レベルだとけっこう大きい音がやってくるぞ」
「うわ、予想以上にでかい音だった」
「花火の直径でどれくらいの大きさの音が届くか予想できるようになったぞ」
「約6秒後に届くということは会場までの距離は音速×6だな。ところで音速って何メートル/毎秒だっけ?」
「これだけ大きな爆発を起こすにはどれだけの火薬が必要なんだろうか」

携帯や、カメラを一切いじらないのでその分脳みそが自由です。

両手が空いているのでドンタコスを貪り、それをおーいお茶で流し込む。
打ち上げ花火には意外にもドンタコスが合います。

携帯電話は車の中でお留守番です。
映画上映中には携帯はオフ。それと全く同じで、わずか1時間かそこら他人からの連絡を絶っても死にはしません。
花火も映画や演劇鑑賞と一緒。その瞬間を全力で目に焼き付けるモノです。それだけの価値がありますよ。
しかも無料でそれを体験できるなんて最高じゃないですか。
隣町まで爆音が聞こえるほどの大量の火薬を年に一度だけ使用することを許される。こんなイベント他にあります?

花見もイベントだけが一人歩きしていて、本当に桜の花を愛でてる人1割もいませんよね。ただ桜の下で酒を飲んで騒いでいるだけ。
「桜の下のわたし」を愛でてるだけ。

花火大会も、花火を観ているようで意外に観ていない。
誰かに伝えるのはプロに任せて、素人は花火そのものを楽しみましょうよ。
携帯電話、カメラを置いて真剣に観てみると意外に新しい発見がありますよ。

中途半端な写真や動画で人に伝えるよりも、その時間をなくして自分が堪能する。
花火はその方が絶対に楽しいと断言します。

花火大会は音楽のライブ以上にライブ度の高いものだった。そんな気がします。

ありがとうございます。有意義なことに使います。