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それ、面接で聞いちゃダメですよ!

先日、弊社の取引先の企業の面接を受けた候補者から面接の際に「家族構成について細かく聞かれた」というフィードバックを受けました。その会社は人材業界の会社でもあったので正直、今時まだそんな質問をしている会社がある事に大変驚きました。(こちらの企業には、問題がある質問があったということを弊社よりフィードバックして今後については改善を約束してもらっています。)

最近の面接では人事部門のみならず、配属予定の部門のマネージャーや部門長など事業部門の方が面接を行うケースが当たり前になってきました。面接で聞いてはいけない事項について人事部門の方は通常は認識をされているケースが多いですが、このような現場の部門の方やあるいは会社によってはトップ自らが面接の中で聞いてはいけない質問をしてしまうというケースがあり、今まで私も何件か耳にしたことがあります。

これは言うまでもなく会社にとってとてもリスクがある行為です。

今回の投稿では採用の面接において面接官が聞いてはいけない質問について確認していきたいと思います。

面接で聞いてはいけない質問例

では実際に面接で聞いてはいけない質問とはどういった質問なのでしょうか?

<面接で聞いてはいけない質問例>
■本籍地・出生地に関する事項
・「ご出身はどちらですか?」
・「(外国の方に対して)国籍はどちらですか?」

■家族・住宅状況に関する質問
・「家族構成について教えてください」
・「お父様(又はご家族等)の勤務先はどちらですか?」
・「住宅は持ち家ですか?、賃貸ですか?」
・「どんな家庭で育ちましたか?」

■思想・信条に関する質問
・「尊敬する人物は誰ですか?」
・「愛読書は何ですか?」
・「どんな新聞を読んでいますか?」
・「この間の選挙に行きましたか?」
・「支持政党はどこですか?」

■その他
・「健康診断書を提出して下さい」※選考の段階での提出はNGです。 
・「(女性に対して)結婚や出産しても働けますか?」

 

これらは「本人の適正や能力」以外についての質問をしており、職業安定法における個人情報の収集に関する規定違反及び憲法に制定されている「思想の自由(第19条)」や「信教の自由(第20条)」に対する違反等、多くのコンプライアンス又は人権上の問題を含みます。

家族や出生地、国籍など「本人に責任のない事項」、思想・信条など「本来自由であるべき事項」について尋ねることは場合によっては人権侵害となるリスクもありますので注意をしないといけません。

採用面接の場では本人のもつ「適性・能力」のみを基準にして選考しなければならないということがルールとなっており、そのことを面接を実施する面接官は理解をしておくことが重要です。

企業にとってどういったリクスがあるか?

これらのことを「ついうっかり言ってしまった」や「アイスブレークをしようと思って」等のケースも含めて質問をしてしまった場合、企業には以下のようなリスクが発生します。

■各種、コンプライアンス違反
・先ほど述べたように「職業安定法」や「憲法」に違反する形となり、ひどい場合は行政指導や改善命令が出される可能性もあります。

■風評被害
・現代において特に注意しないといけないのはこの風評被害です。つまり、SNSや口コミなどでインターネット上で拡散され、炎上するなどのリスクがあります。一度このように企業のマイナスイメージが広がると顧客の信頼を失い、業績も悪化するなど企業にとって計り知れないダメージを与える可能性があります。

  

企業側の意識を変えないと

このようなことが起きないようにするために企業はどのような対策をとることが考えられるのでしょうか?

一般的には、面接官に対しての研修や採用基準の明確化、面接での質問集の作成などの対応をするケースが多いと思います。

もちろんそれは一定の効果があるとは思いますが、私はそれではあまり改善されないのではないかと思っています。
なぜなら、採用する企業側の意識を変えないと結局は企業側が主導権を持って選んでいるということになりがちであり、求職者のいいところを聞き出そうというスタンスよりも会社に合うか、合わないか、の2択で考える傾向が続くのではないかと思っています。
そのことで本来、確認をするべき応募者のスキルや適正というよりも企業側に都合のよい質問、あるいは面接官の好き嫌いの質問などが横行してしまう要因となっているのではないでしょうか?

本来はあくまで面接の場は企業も応募者も対等であり、お互いがお互いを見極める場ということが意識されてくればもっと違う観点で企業側は魅力を伝えるということを行うはずです。

結局はそのような考えで面接を実施する企業がやはり優秀な人材の採用に成功し、冒頭の例のようなNG質問をしてしまう企業には優秀人材は離れていってしまうということになってしまうと思います。

人材紹介会社として

人材紹介会社はこういう企業に対しては改善を促していく立場にあります。コンプライアンス上のリスクをお伝えするのはもちろん、「どうしたら活躍できる人材を採用できるのか?」という観点から企業側にアドバイスをしていくことが求められていると思います。

当社でも当然、この点を意識して行動をしていきますし、場合によっては面接官の方に対するアドバイスや面接官トレーニング等についてもご相談に応じて対応致します。

★人材採用・転職に関する相談は是非、当社までお寄せ下さい。


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