認定スクラムマスター研修を受けて受からなかった話(前半)

少し前にスクラムマスター研修を受けてきたのですが、残念ながら認定を受けることができなかったので、そのことについて自分なりにまとめようと思います。
本記事が今後スクラムマスター研修を受けようとしている人の参考になれば幸いです。
なお、本記事は前半と後半の 2 部構成です。
前半記事では研修のスケジュールや内容などについて、
後半記事では研修を通して思ったことをメインに書こうと思います。

本題に入る前の前提情報として、現在日本で受けられる認定スクラムマスターには 2 種類あります。
一つは Scrum Alliance の Certified ScrumMaster 研修(CSM 研修)です。
この講師を担当する認定スクラムトレーナーは世界に 200 人ほどしかいない稀少な存在で、日本ではたった一人しかいらっしゃいません。
もう一つは Scrum Inc. の Licensed Scrum Master 研修(LSM 研修)です。
本記事では CSM 研修について言及します。

CSM 研修の申し込みページには下記のような記述があります。

残念ながら、本トレーニングは、お金で資格を取得(購入)するための研修ではございません。

また、注意欄にも以下のことが書かれています。


学習意識が低い方、研修・トレーニング内容をご自身の環境で活かそうと考えていない方のご参加はご遠慮ください。
スクラムを知識として体系的に学習したい方は、本研修・トレーニングはご遠慮いただき、スクラムの概要研修・トレーニングをご相談ください。

とても緊張感のある文言で、中途半端な気持ちで受けるものではないことが読み取れます。
わたしが受けた研修は 3 日間のクラスで、実際受けてみてとても厳しかったと感じました。
詳しくは後半記事に書きます。

研修は 9 時開始で 19 時前後に終了でした。
昼食は大体 1 時間程度あり、お弁当が支給されました。
入り口付近にはお茶やコーヒーのポットの準備もありました。
また、18 時から 1 時間程度はアルコールや軽食が提供され、それらをつまみながらその日を振り返る時間でした。
席は特に決められてはおらず 5 , 6 人で 1 つのテーブルにつき、受講生は全体で 30 ~ 40 人でした。
各テーブル毎にはプロッキーのマーカーセットや付箋、イーゼルパッドなどが置いてあり、自由に使えました。
また、それらのツールをスクラムマスターとして適切に選択できるかも重要だと講師から伝えられました。

研修は下記のようなスケジュールで進められました。

1 日目:
9:00--12:00 スクラムに関する講義
12:00--12:15 昼食時間を決めるための話し合い
12:15--13:00 昼食
13:00--14:00 講義
14:00--16:00 グループワーク
16:00--18:00 講師から課題の出題(講師 : 受講生 = 1 : 1)
18:00--19:00 振り返り

2 日目:
 9:00--12:00 講義
12:00--12:30 昼食時間を決めるための話し合いなど
12:30--13:15 昼食
13:15--18:00 課題の続き(講師 : 受講生 = 1 : 全員)
18:00--19:00 振り返り

3 日目:
 9:00--16:00 課題の続き(講師 : 受講生 = 1 : 全員)
16:00--18:00 議論の進め方に対する議論、課題の続き
18:00--19:00 振り返り

1 日目のお昼に昼食時間に関して 30 人以上で話し合うことになるとは思っておらず、不意をつかれました。
そして研修全体を通して多数決は認められておらず、『全員が納得して結論を出せること』が最重要視されました。
なぜなら、全員が納得できるだけの論理的な理由を以て説明できることが常に問われており、
それがスクラムマスターに必要なスキルそのものであるからです。

グループワークでの出題の内容は『クラスの活動を評価し、よりよくするためにはどうしたらよいかという質問にスクラムマスターとして答える』というものでした。
結果として全員で研修内に 1 つの解答を導き出すことはできず、時間切れになりました。

最終日は振り返りの中で今後の予定について説明がありました。
研修後、講師が「この人ならスクラムマスターになれる」と判断した人のみに遅くとも 1 ヶ月以内には web テストの案内がメールで送られ、
そのテストに合格すると晴れて認定スクラムマスターになれるとのことでした。

残念ながらわたしにはテストの案内メールが来ませんでした。
個人的にはこの結果に納得していますが、やはりそれなりに落ち込みました。
この研修は普段スクラムマスターとして活動していて、
その力試しをしたい人向けだったと思います。
ちなみにわたしは普段は UI/UX デザイナーとして活動しており、普段はスクラムマスターとしての活動はしたことがありませんでした。
しかし、研修に参加したことでスクラムマスターとしてのあり方を痛いほど考えさせられたため、学びには確かにつながったと思います。
ハードでも受ける気力のある方は受けると良いのではないかと思います。
ちなみに講師の方は論理的に正しくない点があるとその論理の穴を突いてくるので、ロジカルに話し通す自信がある方にもお勧めします。
また、研修の中でフィードバックを受ける機会が多いため、フィードバックを自分と切り離して受け取れる方にもお勧めします。
ネガティブなフィードバックを自分に対する否定だと感じてしまう方には精神的に厳しい研修になるためお勧めしません。
また、スクラムマスターがどんなものかを知りたい、とりあえず資格が欲しい、という人にもお勧めしません。

ほかの講師の研修や LSM 研修はまた雰囲気が違うというレビューを見かけたことがあるので、この記事を読んで CSM 研修を受けない選択はしてほしくありません。
あくまで重要なことは、受講する場合に個々人の身の丈に合った研修を受けることだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?