中園孔二 個展「すべての面がこっちを向いている」を見てきた

中園孔二の存在を、インスタのプロモーションを見るまでは知らなかった。しかし、なんかパワーのある絵だなぁと思って気になっていた。周りの友人たちが、中園孔二の展示良かったよ、と言っているのをチラホラと耳にしてついに私も足を運ぶことを決めたのだ。

中園孔二とは?

まずここで中園孔二の概要について、展示を開催したギャラリーの紹介文を引用し紹介させて頂くこととする。場所は六本木に2020年に誕生したANB TOKYO!

『中園孔二は1989年神奈川生まれ。2015年、25歳という若さで夭逝するまでに、絵画を中心に彫刻、インスタレーションも含め700点以上にわたる作品を制作しています。生前、東京オペラシティアートギャラリーグループ展「絵画の在りか」に出品、逝去後も、埼玉県立近代美術館でのグループ展(2016年)のほか、パリのポンピドーセンター・メス(2017年)や、モスクワビエンナーレ(2017年)、アイルランド近代美術館(2019年)などの展覧会に参加。2018年には横須賀美術館にて個展「中園孔二展 外縁−見てみたかった景色」が開催され、同時に求龍堂より作品集も刊行。大きな話題となりました。作品は神奈川県立近代美術館、高松市美術館、東京都現代美術館に所蔵されています。』ーANB 中園孔二 個展「すべての面がこっちを向いている」https://taa-fdn.org/events/940/ 

中園孔二を検索すると、よく出てくるのが「急逝」「死因」などだ。紹介文にもあったように、彼は25歳という若さで亡くなっている。7月某日、香川県の海で行方が分からなくなり、7日後に岡山県内の海上で見つかったらしい。自殺ではないかと思われそうだが、本当のところは本人にしか分からない。

展示内容と受けた印象、感想

展示は階をまたぎ、3階と4階で行われていた。油絵がほとんどだが、スケッチやドローイング、立体も少し。そして印象的だったのはインタビューだ。

はじめに絵を見たけれど、あの感情を言葉にするのは難しすぎる。何というか、ポップなのだが気持ち悪いのだ。なぜなのだろうか…私も見ながら混乱した。人間の感情を抽出してぐちゃぐちゃに混ぜましたみたいな…。しかし絵からは、意図的に気持ち悪く描いているような印象は受けない。中園孔二の作品について、後日友人と話したのだが、受けた印象が180度違うもので驚いた。あの作品たちを見て、楽しくなっちゃう人もいるようで、感想がこうも違う所も面白い部分である。

私も、自分の感情抜きにして見れば、作品数もすごいし、熱量や、作品のバリエーションの面白さに感動する部分があるのはわかる。わかるのだが、どうしてもゾワゾワとするのだ。未知のものに対して抱く感情に近い。

そのまま全ての作品を見終えて、最後の作家インタビューを観た。今はもう亡くなっているので、過去に撮られたもののようだった。はじめは絵の印象とは少し違う人だなと思ったが、徐々に納得する部分が出てきた。インタビューの内容を見るには、本人は素晴らしいまでに自由だった。何というかあれだ、子供がカエルに爆竹を詰めて遊んだり、トンボの羽をむしったりして遊ぶような、本人はまるで悪いことだと思ってないが故の残酷さというか…そういう感じに似ている。

好奇心が先に来すぎている。直感、というか興味がすごい!このインタビュー内で、中園孔二が小学生の頃だったか、夜の学校に忍び込んで暗い中ジッとしていたという話をしていた。私はこれを聞いて、この人はきっと自殺するつもりなんて無くて、ただ海に対して気になることがあって、そのまま死ぬことになってしまったのではないか?と思った。好奇心は猫をも殺すタイプの人なのではないだろうか。勝手な想像ですけどね。


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