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(超短編小説)不器用な黒猫ソラ

あるところに、不器用だけどカッコいい黒猫のソラがいました。
ソラは、町中の猫たちに自分のかっこよさを見せつけたくて仕方がなかったのです。
毎日、自分の新しい技を練習しては、猫仲間たちに自慢することを夢見ていました。

ある日、ソラは公園でいつものように新しい技を練習していました。
今日の練習メニューは、木から木へと華麗に飛び移ること。
しかし、ソラはいつものように足を滑らせてしまい、慌てて木にしがみつきました。周りの猫たちは笑いをこらえるのに苦しむ様子で、ソラは恥ずかしくて仕方ありませんでした。

そんなある日、ソラは新たな挑戦を決意しました。
町の大通りにある高いビルの屋上から飛び降りること。
これが成功すれば、みんなに自分のカッコよさを見せつけられると確信していました。

ソラは練習を重ね、とうとうその日が来ました。
屋上から見下ろす景色にドキドキしながら、勇気を振り絞って飛び降りました。
風がソラの体を包み込むように抱きしめ、まるで空を飛んでいるかのような感覚に浸りました。

しかし、その瞬間、ソラは足元にいた小さな子猫を見つけました。
子猫は怖がって立ちすくんでいました。
ソラはすぐに彼を助けることを決心しました。あわてて風に乗って、子猫のところまで飛び移りました。
そして、見事に子猫を抱えて無事に地面に着地しました。

周りにいた猫たちは、ソラの勇敢な行動に感動し、拍手喝采を送りました。
ソラはその場で猫たちから称賛を受け、自分のかっこよさを見せつけることができました。
そして、ソラは不器用ながらも、他の猫たちに勇気と希望を与える存在になりました。

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