見出し画像

日本ワインの可能性1(同品種比較)シャルドネ

先日はカジュアルワインゼミのアカデミーコース(研究講座)のシーズン10の第1回を開催。シーズン10のメインテーマは「日本ワインの可能性」、要は同品種のワインを価格等を考慮し、日本ワインと輸入ワインを比較試飲していく内容。

第1回となる今回は「シャルドネ」をピックアップ、日本ワイン2種、輸入ワイン3種をサンプルとしてセレクトしました。ラインナップは以下の通り。

Sample-1
 Coteaux des Margots Mâcon-Villages 2020
 コトー・デ・マルゴ マコン・ヴィラージュ
 生産地:フランス/ブルゴーニュ地方
Sample-2
 Okunoda Winery Anemone Chardonnay 2022
 奥野田ワイナリー アネモネ シャルドネ
 生産地:日本/山梨県
Sample-3
 Sebastiani Chardonnay Butterfield 2021
 セバスチャーニ シャルドネ バターフィールド
 生産地:アメリカ/カリフォルニア州
Sample-4
 Kumamoto Wine Kikka Chardonaay 2020
 熊本ワイン 菊鹿シャルドネ 樽熟成
 生産地:日本/熊本県
Sample-5
 Emiliana Signos de Origen Chardonnay2021
 エミリアーナ シグノス・デ・オリヘン シャルドネ
 生産地:チリ/カサブランカ・ヴァレー地区

セット1はマコン・ヴィラージュとアネモネ・シャルドネの比較。
小売価格はいずれも3,000円程度でいずれも樽熟成無しのアンオークタイプ。
素のシャルドネの綺麗で溌剌とした酸が印象的なマコン、アンオークである事のメリット(酸が弱くならない)を生かしながら、程好い飲みごたえと上手にバランスされていて丁寧な造りを実感できる。
アネモネは奥野田ワイナリーの新しいシリーズで、ワイナリーに伺った際に中村さんに醸造について色々お聞きしたワイン。アッタックに感じられる華やかな果実味、酸はマコンに比べると弱めで果実味に隠される印象。こちらも樽熟成無し故の溌剌さとフルーティーな味わいが特徴の一本。
よりドライで緻密な印象、造り手の秀逸さが実感できるマコンと、ワインを普段あまり飲まない方でも楽しめる、明るく華やかなアネモネというところ。

セット2はセバスチャーニのバターフィールドと菊鹿の樽熟成有りの比較。
バターフィールドは小売3,000円程度、菊鹿は4,500円程度で、いずれも樽熟成を行うタイプ。
バターフィールドはカリフォルニアらしいトロピカルフルーツを思わせる完熟感があけれど、一昔前のカリフォルニアのシャルドネに見られた「厚化粧」な感じはそれほど強くなく、樹齢の高さや生産者のキャリアを想像できる。
菊鹿は日本ワイン愛好家のなかでは注目の一本で、ヴィンテージの樽熟成のシャルドネとステンレスと樽熟成をブレンドしたマルチヴィンテージのシャルドネがあるがこちらは前者。樽熟成を謳っている割には非常に綺麗に酸が残っていて、逆に樽熟成前はどんなに酸っぱかったんだと勘ぐってしまう。
熊本という環境を考えると、このスタイルで造るのはすごい拘りに思う。機会があったら是非生産者に伺っていみたい所。
カリフォルニアのリッチさを残しながらも、現代的なエレガントさを求めるバターフィールドと、冷涼感を感じさせる綺麗な酸に拘った、生産者の高潔さを感じさせるような菊鹿という所。

セット3はバターフィールド残しのチリのシグノス・デ・オリヘンとの、小売価格が同じニューワールドの樽熟成有りの比較。
バターフィールドに比べるとシグノスはボリュームも一段上の印象、小売価格が同じと言っても生産コストはチリの方が安いし、当然そこは収量等に影響してくるから当然の話。
ただ、チリはアンデス山脈の麓で畑の標高がおしなべて高いので、日照量が多くても朝晩の冷え込みはそれなりなので、旨味と酸味が両立できる稀な環境、この辺も実はチリが「ブドウ最後の楽園」と言われる所以。
エントリーレンジはカリフォルニアを意識した造りのチリのシャルドネも、プレステージレンジになると、過剰な果実味やバニラ丸出しの樽熟成は行わない、ブルゴーニュを見据えたスタイルを垣間見せるんだなと実感。

実は抜栓3日目に追跡で菊鹿を飲んでみたけど、堅牢な酸はいまだ主張してました、「実に興味深い…」byガリレオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?