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徹夜ができない≠もういい年だからね

 高校時代、よくとなりの後ろの席のささっきーが徹夜自慢をしていた。
 ささっきーというのはそのあだ名の通り佐々木である。
 その肩まで伸びた御髪を銀髪に染め上げ、薬局で購入できるギャル御用達の真ん中が開いてる金属のダッカールで邪魔な前髪を留め、制服のスラックスを腰どころかお尻で穿きハト目のごっついベルトで落ちないようにして、カラーシャツの下にショッキングピンクのTシャツを着込み、日サロに通い全身の皮膚をこんがり焼いて、休み時間になるとXJAPANの紅をがなり立てるように歌い上げながら歌詞を黒板に殴り書きしてそのままにし次の授業の教師に怒られていた佐々木である。

 ささっきーの徹夜自慢は、カラオケオールから始まり、ファミレスオールやラブホオールや果ては道端オールまで多岐にわたっていた。
 いわく「っべ俺昨日寝てねーんだわwww授業中寝る気しかしねーwwwえこぴあとでノート見せてwww」
 あとでクラスメイトのノート見るあたりちょっと真面目である。おまえほんとうにギャルか?(ギャルへの偏見)

 さて本題に入る。
 ささっきーにノートを見せてあげていたえこぴは徹夜ができないのである。
 ささっきーの徹夜自慢を、いいなあ、と指をくわえて聞いていたクチなのである。
 そう、勘の悪いキッズでもさすがにお気づきだろうが、決してえこぴは年を取ったから徹夜ができなくなったのではなくて、高校生の頃から徹夜ができないのである。

 ショートスリーパーという存在には諸説ある。
 それは無理をしているだけだとか、体に悪いだとかはたまたいいのだとか、なんだかんだ。
 そして夜型とか朝型とかも、ある。
 そのカテゴライズをするなら、わたしは確実に朝型だ。
 どう頑張っても徹夜はできない。
 どれほど「夜明け前が一番暗い」という言い伝えを確かめたくて空が白むまで起きていたいと願っても、夜明け前には寝ている。
 ずっと真夜中でいいのに。なんて死んでも思わん。死んでしまいます。

 宵っ張りの人間、羨ましい。
 頭(朝)と尻(夜)どっちか無理して作業しろと言われたら迷いなく頭を伸ばす選択する。
 そもそも、夜遅く寝ても毎日だいたい同じ時間に目が覚めちゃうのよ。一回は。そのあと起き上がって活動するかどうかは別として。

 起き上がって活動するかどうかは別として!

 結局徹夜も才能なんだよな。
 無理して明け方まで起きていたら、わたしは次の日一日眠ってしまう。それは「徹夜をした」ことにはならない。
 パフォーマンスが少々落ちても、次の日もちゃんと活動できる状態であって初めて「徹夜をした」ことになるのだ。


 ところでエッセイ出したよ。

 海辺で今日も息をしている。といういい感じのエッセイ集です。

 これは購入してくれたお友達の推薦ツイート。
 たしかに、タイトルは短歌の下の句なんだけど、「落ち着いていく感じと言葉にある続いていく感じ」というの、まったく意識してなくて、こ、こいつ天才か!? って思ってしまった。

 こうやってわたしが意図していない部分に意味を見出してくれるのは、読んでくれる人がいてこそだな、と思っているので、ほんとうにこういうのおもしろく感じる。

 今までnoteに書いてたエッセイの加筆修正もちらちらありつつほぼ書き下ろし。
 エッセイだから当たり前なのだけど、ためになることは何も書いてなくて、だからこそ気軽で、寄り添うと言うよりはベンチで偶然相席した知らない人の半生をなんとなく覗き見る、そんな感じに仕上がっていると思うので、よかったらぜひ~!

 なんで宣伝してるんだ…。

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