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金言627:咳払いする男の何かしらのアピール

大阪堺筋本町のオフィスで働いていたとき、1年早く入社した年長者がいました。この男は、9:30AM定時の10 分遅れで毎朝出社していました。そしてデスクにつくと、必ず咳払いを1回しました。4年ほど同じ部屋で仕事をしましたが、この咳払いは最後まで途切れることはありませんでした。

こちらは前職での社員教育のおかげで、遅くとも始業30分前にはデスクにつくよう習慣づけられていましたので、毎朝この男の咳払いで、一息つきました。
当時は30平米程度の部屋をパーテーションで仕切ってこの男と共用し、顔を見ることはなくても、朝は咳払いで出社を確認しました。

外資で互いにボスが違うので、上下関係も共同作業もなく、ライバルでもバディでもない、たまたま同じ会社の従業員という関係でした。週に1回の全体会議で顔を見るという極めて淡泊な関係で、顔を合わせない日が多かったような気がします。

事務担当者(秘書とよばれていました)も別々だったので、朝の咳払い以外に接触はほとんどありませんでした。互いに相手の仕事に干渉しないので、すべて自分で意思決定し、その結果について他人は責めを負わないので、いわゆる100%自己責任の環境で、快適な仕事場でした。もちろん外資ですから、毎日が鉄火場でした、失敗すれば段ボール1箱に私物をいれて退場です。マンション・車・スポーツクラブの会員権など貸与されたモノは即日返却手続きが開始されます。
たまに不快になったのは、始業定時過ぎにのこのこ出勤してきて、デスクにつくとまず咳払いするこの男の何かしらのアピールでした。

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