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人を動かす、感動、扇動

見るというのは、はっきりしていて、一目瞭然、説明不要です。これに対して、音はもう少し深いところで人を動かします。絵画より音楽の方が人を動かします。

ミュンヘンの選挙運動
ドイツのミュンヘン、旧市庁舎前の有名な広場では連日いろいろなイベントが開催されています。一度、選挙演説をしている場面を見たことがあります。冬の夕方、(ドイツでは夏場は夜7時過ぎても、野外でサッカーができるほど明るいですが、冬場は逆に長い夜となります)あたりが薄暗いなかで、演説をしていました。すると、一瞬演説が止み、広場を取り囲んでいる歴史的な建物(戦後再建したレプリカかもしれませんが)の東西南北の屋上に人影があらわれ、高らかにトランペットの演奏が始まりました。

ドイツ語を理解せず、もちろん選挙権もないので、観光客として見物していましたが、このときは鳥肌が立ちました。自分を含めて人はこうやって、扇動され、指導者を選んでいくのだろうと、目に見えない恐ろしさを感じました。自分は群集のひとかけらになって、逆らえないうねりに巻き込まれていくような恐怖感と否定しにくい感動を覚えました。

後日、若い頃のヒトラーは、午後8時を過ぎないと演説をしなかったそうです。

人を動かす
論理的な話をするのは明るいとき、それも朝がいいそうです。逆に情に訴えるときは夜8時過ぎが有効だそうです。暗い映画館で、「ジョーズ」や「ゴジラ」を音楽なしで、長時間スクリーンを見たとしても、それほどのインパクトはないでしょう。あの迫ってくる効果音と音楽が、繰り返し目に入ってくる映像に迫力を付加し、人を動かします。

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