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ため息112: 実現しなかった試み

シャドウキャビネットまたは「次の内閣」としてマネージメントチームを結成してヘッドハンティングのエージェントに飛び込みセールスを積極的にしていた時期がありました。

このチームのメンバーはポジションでお互いに競合することのない、各分野のプロの集合というのが特長です。エージェント向けのセールスポイントとして、手間をかけずに、まとめて人材を送り込めるので、成功した場合は高額な手数料収入が一度に確保できることを強調しました。事実、クライアントの組織図を提示して、そこに応募者の名前を入れるようにいってきたエージェントがありました。しかし、このエージェントを除くと、前例がないので実現しないだろうとコメントするヘッドハンターが大勢を占めました。

セット販売を原則として営業活動をしている中で、メンバーの一本釣りを打診されることがありました。ここでメンバーの中での温度差が出てきました。セット販売は取り扱い実績がないので現実的ではないというエージェントは、従来どおり、個人ごとに案件を提示してきました。それを受け、前例がないからこそ、旨みがあると一本釣りを断るメンバーと、据え膳には手をつけたいというメンバーがいることがわかりました。

結局、セット販売は諦めました。チームの誰かが人事に影響力を持つポジションで採用されれば、その後、その会社に芋づる方式で新入していくことが可能だろうという従来の手法をとることにしました。受け入れ先の会社にとっては、リクルートの手数料をかけずに必要な人材を確保できるというセールスポイントを訴求することにしました。

前例という成功事例がない仕掛けは、採用する会社にとっては両刃の剣となります。まとめて採用すれば、リクルートの時間と費用を削減可能ですが、一方、社内でまとまった勢力となり、会社の意思決定に重大な影響力をもちます。まとまって辞めてしまう可能性も高くなります。

残り時間も少なくなってきたこともあり、まず誰かをどこかに送り込むことにしました。そして、社内組織の見直しや戦力強化という切り口で、人脈を使って信頼性の高いプロを社員紹介という形で迎え入れるという手法に切り替えることにしました。

結果:手術は成功しましたがクライアントは助かりませんでした。

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