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金言514:今日は何日、何曜日?

父が晩年、痴ほうの初期的な周辺症状としての行動異常たとえば暴力・徘徊・異食をするようになり、専門医の診断を受けたことがあります。
最初に記憶に関する問診がありました。付き添ったので一部始終を体験したのですが、自分がテストを受けたら父とあまりかわらないのではないかと思いました。

「生年月日を教えてください」
日常聞かれることはめったにないので緊張しました。
「今日は何日の何曜日ですか」
これも困りました。知りたいときは、カレンダーやパソコン画面、電波時計やスマホなどを見ます。常に意識する必要がない暮らしをしているので記憶にありません。
「朝食のメニューは」
これも気にしていないので思い出すのに時間がかかります。

一番困ったのは箱の中の小物を使う記憶テストでした。
箱の中にある小物(何があったか忘れましたが、クッキーのように仕切りのある入れ物にいろいろ入っていました)を指さして「これは何か」と質問され答えました。そして一通り終わると、ふたをして中に何が入っていたかを質問されました。
これは困りました。小物を識別できるかのテストだと勘違いしたため意識して覚えていなかったので、半分ぐらいしか思い出せませんでした。

父も半分ぐらいしか答えられず、痴ほうを自覚させられたようです。その時、思いだせないことに腹がたったようで、父は付き添いの家族に手がでてしまいました。これを見た担当意思が痴ほうの周辺症状である異常行動(暴力)と診断し、即日入院となりました。

思い出すたびに悔やまれます。担当医師の過剰反応のような気がしてなりません。家族としては、教科書どおりの症状と専門医の診断の結果ですから当時はいわれるがままという状態でした。誤診という問題ではなく、問診に潜む予想外の落とし穴に気がつかなかったということです。

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