金言215:経営者次第

ベンチャーの経営者は「業界のリーディングカンパニー」になることを目標のひとつに掲げる方が多いです。某オールドエコノミー系2代目経営者は「プライスリーダー」を自負していました。

ベンチャーでもオールドエコノミーでも会社の事業が順風満帆に展開していく兆しが見え始めると、従業員は会社のリーダーたる経営者の能力にますます期待をよせていきます。某オーナー企業は創業者が二人の息子に主たる事業を分割して創業家の継承をはかりました。家業の存続は3代目が危ないと祖父にいわれましたが、3代目の創業100年の節目あたりが普通の会社の寿命なのかもしれません。このオーナー企業の2代目はそろって3代目に継承させる気がなかったようです。同族経営が効率的ではないという経営判断ではなく、単純に3代目に権力を委譲するタイミングはまだまだ先のことと考えていたに違いありません。3代目襲名を待たず、この二つの企業集団は売却・買収されて創業家の頭領は「大将」の位を失いました。

長期投資:
マネーマスターと呼ばれた「伝説の男」たちが、「短期売買では勝てない。投資はじっくりと時間をかけること。相場は長くポジションを持った人が勝つ。」と個人投資家に長期投資を勧めました。

団塊の世代のサラリーマンの大半は、縁あって就職した会社で勤続年数を積み上げて今では年金生活です。この世代は、いわば就職した会社に40年弱の長期投資してきたことになります。永年勤続の間には、会社が同族経営の会社なら経営者が代替わり、パブリックカンパニーなら雇われ社長が何回か交代する場面を見てきたことと思います。転職や、幸運にも関連会社への移籍やリストラに縁がなかったサラリーマンは、株式投資で例えるなら、銘柄入れ替えや損切り・利食いをしないで、定年と同時に利益確定の売りをすることになります。運のいい人は、会社のM&A、リストラや早期退職、退職金減額に遇わずに予想どおり退職金を手にすることができます。運の悪い人は、定年退職(利益確定)時に塩漬け株の損切りとなります。

サラリーマンにとって転職することが不利益ではなくなった近頃では、不確実な会社の将来性に自らの人生を元手にして長期投資するようなハイリスクを嫌い、就職をためらっている若者が確実に増えています。不確実な将来を買う(長期投資する)ことを嫌うという点については、若者の感覚は間違っていないような気がします。

経営者次第:長期投資=ギャンブル
ある企業の株を買う(就職)ということは、その企業の将来性を買うということです。企業の将来性は経営者の持つビジョンで判断します。会社の業績は「経営者次第」です。投資する時点での経営者のビジョンは明確になっていますので、その時点での将来性は判断可能です。しかしながら、次世代経営者の経営能力は不明です。現在の経営者に期待して就職しても何年か先には経営者が入れ替わります。ということは、たとえば不動産購入のために組んだ長期ローンの原資を得るために、特定企業に長期投資(永年勤続)することは非常にリスクの高い投資といいかえることができます。将来性の判断ができないということですから、これは投資ではなくギャンブルです。

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