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金言757:父の予測 ■

勤め人になりたての頃、世の中は右肩上がりの高度経済成長期でした。
会社では事業計画を前年比5~10%上乗せで作成すれば問題なく決裁される時代でした。団塊の世代ですから、企業は昨今の人出不足などは皆無ですし、従業員は働けば働くだけ残業代がもらえました。当時は年功序列で定期昇給がデフォルトでしたので、いい会社に入りマイカー・マイホームを手にしていつか定年を迎えるというシナリオを疑う理由はありませんでした。リストラ・転職は無縁の事象でした。
ある時、どんな時かはすっかり忘れましたが、これから不景気になると父がいいました。
所得倍増・日本列島改造の日本で何をいっているのか理解できませんでした。バラ色の人生に変化の兆候が表れたのは、バブルが始まった時でした。年々微増の安定した収入と待遇が、退屈な人生に見え始めたのです。たとえば主任から部長に年収600万から1000万超に一夜で変わるオファーを持ってくるヘッドハンターのさきがけのような人たちが出現してきたのです。野心とそれなりに有能で自信のある商人はハンターの誘いにのりました。
いわゆる日本市場に参入する外資企業のアジアパシフィックエリアのマネージャーというポストが、その後のITバブル崩壊までいろいろな業種でたくさん設定されました。商いの場で通用する英語が使えるビジネスパーソンがこのデスクに身を置いていました。業界で実績を残す人はある程度限られていますので、だいたい5年サイクルで「○○ジャパン」の代表などの肩書を持つビジネスエリートに輪番制のようにオファーがまわってきました。ここでしっかり稼いだのはヘッドハンターでした。高額な年俸で採用が決まればそれだけ手数料が増えます。名のあるビジネスパーソンはお得意様で、次々に外資企業を転がして高く売り抜けました。
自分なりには、このサイクルはリーマンショックで一旦断たれたものと考えています。高給CEOが巨額な負債を生んでいる実態が表にでてしまいました。今まではわかっていても、宣伝費ぐらいに考えていたのが、会社存続を危うくするようなところまでコストが膨れ上がってしまったからです。
話は戻ります。
これから不景気になると父が予測は、どのような情報からであったのか知ることはできませんでした。でも、先のことはわからない、でもネガティブな近未来ではないと周囲が期待した美しい未来は妄想であったことは証明済みです。■

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