金言252:塩漬け戦術

後に「砂漠の嵐」作戦を実行することになる米国大統領の大統領就任式典に、米国製品の拡販に功績があったとして、日本の某メーカーの創業者が招待されたことがありました。
この会社の強みのひとつは、豊富な資金力による「塩漬け」作戦だと、競合他社の営業マンがつぶやいていました。

この私企業の「塩漬け作戦」は、商売繁盛をねらった積極的な戦術です。例えば、無名の海外ブランドが日本でブレークしそうな情報を入手すると、すばやく、担当役員がブランドオーナーを訪問します。日本の大手企業であることを名乗り、「餅は餅屋に」といって、日本国内での独占販売権を獲得します。この戦略を、競合他社の営業マンは「競合ブランドの塩漬け」戦術と批判します。

なぜ、悪口かというと、日本での流通に独占契約(排他的)を結ぶので、他社はこの新ブランドに手をつけられないからです。新ブランドが成功する確率は高くはありませんが、もし、ブレークしたときは、独占販売権がありそれなりに稼ぐことができます。しかしながら、経営者の狙いは別のところにあるそうです。限られた市場のなかでの競争ですから、新ブランドが誕生すれば、従来の自社ブランドがくわれてしまいます。そこで、新芽を摘む作業をすることによって、マーケットシェアを確保しようとします。独占販売、流通契約をすることにより、新ブランドオーナー自身も直接日本のマーケットに参入できません。
必要があれば、この日本の会社は理由をつけて、新ブランドが日本市場で成長しないように、ネガティブな動きをすることができます。これが「塩漬け」戦術です。独占販売権をもっていますから、売ることができますが、売らないこともできるのです。

野球でいえば、ハンカチ王子と複数年の契約をして、いろいろな理由をつけて本人の選手としての実力を発揮させないように押さえつけておいて、その間にライバルのマー君を盛り上げて稼ぐというようなことでしょうか。この戦術は王子が夏の甲子園でピークアウトしたようで、横浜市長選のように、ライバルの圧勝となりました。

敵対的買収が話題になることがありますが、こういう企業防衛の戦術を大手企業はやってきたようです。

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