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金言769:当時は余裕がありませんでした

勤め人として現役の頃は、だれよりも早く出勤し、自分のデスクを雑巾がけし、前夜の着信を処理して始業時間を迎えていました。
上司や同僚、秘書たちが出勤するまでには、当日の予定はほぼ見えていました。そして、早朝から深夜までおまけに休日出勤をして、自分は常に臨戦態勢にあることを160余国に事業展開していた本社の幹部にアピールしていました。職場は24時間耐久レースサーキット場で、体調不良でピットインすれば周回遅れになります。可能な限りの努力をしても、与えられたポジションをキープするのがやっとという状況でした。
そういう中で、今でもふと思いだすことがあります。ロンドンでの私企業の国際会議中にVIPゲストがスピーチをし、その後ティータイムが予定されていました。ゲストは会議出席者全員と握手をし、専属カメラマンがいて、翌日にはツーショットの写真が出席者全員に配られました。写真は、広報資料として公開して良いという許諾条件が裏面に記載されていました。
VIPゲストは英国元首相のサッチャー女史でした。
握手をした時に日本の首相の名前がでて、困りました。日本国民として首相の名前は知っていますが、彼が英国に対してどのような対応をしているか全く知りません。自分の業界の話題なら何とか応えられます。商いでは、政治と宗教の話題は控えるのがお約束であったので、この時は慌てました。話題にしなくても、政治的な立場や政府の動向などは日頃関心を持つべきでした。
今はそういう緊張する場面はご縁がなくなりました。それでも現役の頃より政治経済のことに関心をもっているような気がします。皮肉なものです。期日前投票などができる暇・余裕が十分あるためでしょうか。福島原発メルトダウン以降は、有価証券取引で損を出していないことも、余裕ができて平常心の維持に貢献しています。

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