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ため息162: 天罰、天罰。

ベルリンの壁が崩壊して間もない頃、ミュンヘンで会ったご夫妻の思い出。
この二人はドイツに住み、ドイツ企業で働いていました。ユダヤ系とのことで、東洋人にはわからない何かがきっとあるにちがいないと定型的な想像をしました。

ご自宅で食事に招かれたとき、拳ほどの大きさのコンクリートの破片を見せてくれました。多くのドイツ人が壁に行って拾ってきたと思います。土産物屋でも売っていたでしょうが、当時あまりモノに関心がありませんでした。それに、あの壁は、日本人には縁のないものでしたから。

ベルリンの壁の破片を見た日から2ヶ月経った頃、会社を辞めるというファクスが届きました。退職理由は、これ以上在職してもキャリアアップにつながらないことが明らかになったということでした。昇進・昇給の要求を断られたか、プロジェクトがうまくいかなかったからか、それともドイツ企業での居心地が悪かったのか、その辺の事情を聞くことなく、縁遠くなりました。

日本では一身上の都合という決まり文句があります。自己都合で退職するときは、人事から、一身上の都合と書くように指導されます。それで円満退職になり、わずかでも退職金があればもらえます。

欧米では、企業にとって必要な人材像の明確なキャリアやスキルを段階的に設定し、目標とするキャリアやポストを目指しながら成果を上げていくというキャリアパスが不透明になったときに、従業員と会社が合意の上でこれを明示して退職なり転職するようです。
円満退職につきまとう「わだかまり」の存在をつぶし、事実と見通しによってきわめて合理的に表現される意思決定ということになります。

会社を去るとき、当事者の気持ちには復讐も征伐もなく、もしどちらに悪意があったとしたら、悪意者に「天罰がくだる」のだと最近思うようになりました。

他人の嘘に気がついても気づかないふりをし、他人がバカにしても一向に平気な顔をしていられるかもしれません。それは、その他人にきっと天罰が下るにちがいないからです。そいつのことが頭に浮かんだとき、「天罰、天罰」と10回唱えると、ネガティブなフラッシュバックは消えていきます。

「気合だ、気合だ」と同じメンタルトレーニング、洗脳の効果です。

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