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全然違うところに来てた

一時期に比べると音楽を聴けるようになってきたとは思うのだけど、まだまだ全然物足りないなといつも思っている。
昔のように脳内にドーパミンがほとばしるあの感覚は期待するべくもない。

単純に年を取ったというのは間違いない。
最近聞いているのはもう何度も何度も聴いた曲が多いので、まあそれもあるだろう。

しかし、単にご飯を食べたり文章を読んだりしても似たようなもどかしさを感じているので、実際にはそれだけじゃないだろうと思っている。

たまには違うことをしたら何か変わるかもと思って、長年使っていなかったヘッドホンを引っ張り出してきた。
例によってイヤーパッドがボロくなっていた。

ネットで名前を入れて検索してみると、知らぬ間に本体がディスコンになっていた。
年を取ったんだなとまた思い知った。


あまりに久しぶりだったので、インターフェイスにつないでも音が出ないなどとあれこれ探し回ってしまった。
やっと音が出たというそのことだけですごくほっとした。

久々に使ったヘッドホンの感触は戸惑いの方が大きかった。

イヤホンすらしばらく使っていなかったので、耳もとで音が鳴るという感覚自体が久しぶりすぎた。
意外と音がごちゃごちゃしてて、昔の自分はこんなのを1時間も聴いていたりしていたのかと、ちょっと信じられなかった。

好みだけで言うならスピーカーで普通に聴いた方が好きな音だった。
別に取り立てて高価なヘッドホンではないからでもあるだろうが、値段で比べるならスピーカーもそんなに変わらない。
単に慣れの問題もあるかもしれないが、結構違和感があるんだなと思った。

それでも、普段と違うということだけでも、今日のところは悪くはないかなと思った。
思い返してみれば昔は音云々よりも蒸れとか装着感のほうがしんどく感じていたなぁ、なんてことを思い出したりした。


考えてみれば、昔はイヤホンやヘッドホンをあれこれと調べて回って、興味津々でいたものだった。
オーディオ自体はPCで再生するのがほとんどだったが、リッパーはこれがいいだのエンコーダーはどうだプレイヤーがなんたら、いろいろ試していた。

たまにHydrogenaudioなんて見てみたりして、気分だけは詳しい人になったつもりになったりして。
foobarのTitleFormattingをあれこれいじくったり、プラグインをあれこれ追加してみたり、可逆のフォーマットをあれこれ探し回ったりして。

音楽そのものは言うまでもないが、それ以外の、出音の改善には別にほとんど役に立たないことなのだが、まあそんなことさえも自分なりには結構楽しんでいたことを思い出した。

自分よりそういう人 (音楽が好き) いっぱいいるし、自分はそんなに音楽が好きな人間じゃないんだな、なんてそんな風にここ何年かで思ったりしていたが、昔は意外とそうでもなかったかもしれないなんて今さら思った。

音楽なんて本当に朝から晩まで聴いていないと気が済まないようなことをしていたんだし、その割には聴いてきた世界が狭いなというのは本当に思うのだが、それはともかくやっぱり音楽結構好きな部類の人間でもいいかもしれない。

お金か行動力か、どっちかでもあればだいぶ違ったんだろうが、それでもできる範囲のことは当時はまあまあやっていたかもしれないし、自分にはそれぐらいが限界だっただろうな。

今考えるとちょっともったいないなと思うこともあるが、まあ人生ってそんなものなのかな。


振り返ってみると、本当に昔と全然違うところに来ている。
別にそれに良し悪しをつけるべきじゃないのだろうけど、それでも昔の自分割と良かったじゃんって、率直にそう思った。

もちろんそれが若さというか、知らない昔と知ってる今とで同じ行動になるわけがないのは仕方がないだろうが、ここ何年かの自分物足りなかったんじゃないかと。

感覚が大きく変わったのはここ1年ちょっとぐらいだが、じゃあその寸前には何の変化も無かったかと言われるとあまり自信が無い。
興味がわきにくくなったから音楽を聴く時間が減ったのかと、そう思っていたが、もしかしたら逆の要素があったのかなとか、そんな風に思った。

実際のところ、音楽の部分に時間を占めるほかの大きな石ころがどーんと入ってきて、それに押し出された部分があったのは否めない。
昔だったらほどほどで戻っていたのだが、ほどほどの時間が昔に比べてずっと伸びていた気がする。

その石ころが人生を託すに足るほどのものだったら良かったのだが、入ってきてみればそれほどではなかった。

そのこと自体は別にいいのだが、あんまり器用じゃない人間だ。
これから先は、どんな石だか岩だかに時間を占領させるか、意識的にならないといけないかもしれない。

そうしたら、またいろいろ変わってくるかもしれない。
というよりも、今はそう信じるしかないと思っている。


そろそろ、音楽にかわる次の何かを見つけないといけないのかなと思ったりしていたが、まだ希望を捨てるのは早いかもしれない。

なにより、まだ捨てたくはない。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。