糸が切れたら

緊張の糸が切れる、という言い回しがある。

好投していたピッチャーが、たった一球の失投から、ガタガタと崩れてしまう。ダグアウトから監督が出てきて、審判に合図を送る。すかさず解説が「ああ、ここでピッチャー交代です。何々(投手の名)、緊張の糸が切れたか」などと言ったりする、あれです。集中が途切れる、という意味合いのほう。

その、投手氏の緊張の糸が切れるあの感じを、つい先日、noteで体感(?)しました。

先月、7月の間、毎日投稿をするという試みを行い、なんとか無事1ヶ月を乗り切りました。その後も、可能な限り続けてみようというスタンスでしたが、連投記録はあっけなく8日後に途絶えてしまった。

実のところ続ける気は満々だったのです。ギリギリでも、内容が微妙でも、とにかく続けると。時間の足りない時は、あまり考えをまとめなくて良いような話題でも、いっそ書き殴りの絵でもいい、と思っていました。

少々忙しい時期だったので、朝投稿は夢のまた夢。どうしても書くのは遅い時間になってしまう。初っ端から遅い時間に書いたものを翌朝投稿するというスタイルにしていたのなら良かったが、そもそも朝書くのが間に合わずに夜になっている、というパターンだったので、書かねば投稿する記事がないのです。晩に書いたら、もうそれを上げねばならない。一つ終えれば、翌朝のための記事を書く気力はもう残っていない。とにかく一つ書いて、ギリギリ0時前に投稿ボタンをポチッとする。そのようにして、8月、最初の一週間強連投を続けたわけです。

その緊張の糸はですね、思いがけず、ブチッと切れました。

その日は通常よりも少し書き始められる時間が早かった。ので、考えをまとめてみようと思ってしまった。そうしていたらですね、ついつい考え込んで、気付いたら0時数分前になっていた。そこから、こりゃいかんと慌てて文章の体裁を整え始めたわけです。とにかく投稿に耐えうる形にして、文章の奇妙なところは後から修正すればいい。そして、なんとかギリギリでポチッとしたつもりだった。

が、あの、いつも出てくる連続投稿のポップアップがでない。代わりに、見慣れぬ「何週連続!」のポップアップがでてきて愕然とました。時間を見ると、確かに0時を回ってしまっている。

実はその前日も同じような状況でしたが、どうやらギリギリ、その日の投稿に間に合ったらしい。同じようなタイミングだったものの、その日は次の日の投稿として認識されてしまった。それまでの連続記録が、うっかり途絶えてしまった、あの時の衝撃。

いやあ、連続投稿時に出るあのポップアップ、すごい効果なのですなあ。あれを見続けたさになんとなく続けてしまう。

そして、それが意図せず途切れた時の衝撃の深さよ。

それまで連勝を続けていたピッチャーが、一度負けると、どうもそれ以降勝てなくなってしまう、あの感じ。勝っている時というのは、「負けていない、連続して勝っている」という事実そのものが、運や本人や周囲を後押しし刺激し、勝ちを生むという好循環をもたらしているのだなあとしみじみ思う。それと似たようなものかもしれません。

しかたない、明日からまた始めるか、と自らに言い聞かせるものの、途絶えてしまった事実は消せぬ。そうなると、まさに緊張の糸がですね、もうブツリと切れたのがわかりました。

翌晩、少々遅めに書き始め、0時10分前には、こりゃどう頑張っても書き終わらないと理解した。昨晩までなら、どこかから落書きを拾ってくるとか、簡素に何かをまとめるとか、そういう努力をしてなんとかその日の投稿に間に合わせようとしていた。

が、一度緊張の糸が切れてしまうと、確かにそこの辺りの馬力がない。「君、もう連続投稿は途切れてるし、今日はもういい、明日にしたまえ」と、悪魔がわたくしの心に囁きかけてくる。

糸が切れる前はですね、「とにかく何でもいい、形にして投稿を!」と何者かがわたくしの心を鼓舞してくれていたのだが、この落差よ。

そんなわけで、また明日から始めればいい、が繰り返されて、現在に至る。

でも、まあ、それでも良いのかな、と。

要は、いずれまた「その時」がきたら、もう一度戻ってくればいいんではないかと。そうすれば、長い目で見れば「連続して何かを書き続けている」ということになる。糸が切れて、ついつい離れていた時期も「ちょっと休んでた」扱いに変わる。そう思うのであります。

思えば、そういう「長い目で見て連続性を保つという行動」は、習慣づいている気がします。どうしても、目先の〜に流されて、目先の成果が見えなくなると、自己嫌悪感に苛まされたり、落ち込んだりしてしまいがちなのですが、判断のスパンを長くすれば、意外とうまいこと色々続けている、と気づく。

案外、誰でも、本当はそうなのではないかと思います。

目標の〜にたどり着いた後も、人生は続く。つまづいて転んだ後も、人生は続く。ならば、成功や不成功に依らず、日々の生きるという行為そのものが、満足できるものであると良いなあ、と。

ので、わたくしはですね、本日からもう一度、わたくしのペースで、連続っぽい?投稿を始めるのです。

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