記事一覧
年の差を越えて 『証言藤井聡太』
本日、王位戦の第三局です。
藤井新棋聖の二連勝中ですが、百折不撓の木村王位にも頑張ってほしいところです。
初戴冠から二冠となるのか、苦労人木村王位が防衛なるかの目が離せません。
本書の巻頭鼎談では、木村王位が藤井新棋聖について語り尽くしています。
午前中は緩やかな駒組でした。二日制なので、時間はたっぷりあります。本書に「持ち時間5時間以上の対局ほぼ無敵」と語られる箇所がありました。
第三章 存在と思考 5
5
帰路をインプットしたスマートカーの中で、マリアは研究員のデータベースにアクセスを続けていた。
「ヒットしました」
マリアはコンパクトな車内空間に、器用にエアスクリーンを出現させると、アスカ博士の研究履歴を映し出した。
「アスカ博士の職歴です。大学の後、二つの研究所に所属した履歴があります」
職歴を示す文字データが現れる。
最初に目に飛び込んできた機関名は、ヤマトを驚かせた。
「何だっ
第三章 存在と思考 4
4
研究棟は超高層タワーの中にあった。事前に調べた階で高速エレベーターを降りて、研究室のドアをノックする。
「どうぞお入りください」
中から、女性のハスキーな声が聞こえた。
研究室に入ると、ショートカットの女性が出迎えてくれた。短いがボリュームのある髪は、白と黒の割合が半々といったところか。痩身というほどではないが、締まった身体をしている。年齢は五十代後半くらいだろうか。
「警視庁の古田ヤ
第三章 存在と思考 3
3
ジョー博士の勤務する大学は、ホバー専用の超高速自動走路を外れてすぐの場所にあった。国内最高学府の権威を誇るかのように、校舎は堂々たる存在感を示していた。超高速自動走路からは、大学まで続く専用道路が整備されている。
スマートカー専用の大学パーキングに到着すると、ヤマトたちの公用車は、エアレーンに吸い込まれていった。
大学の建物外観はレトロな造りだった。最近ではすっかり建築されなくなったレ
第三章 存在と思考 2
2
ベースに戻ると、Kポッドが待っていた。
「ご苦労様でございます。お疲れになられましたか?」
「ああ、Kポッドありがとう」
丸っこい体のロボットの労いに素直に返答してから、ヤマトは複雑な気分になった。
Kポッドはマリアの側にも回り込み、やはり労いの言葉をかけている。ヤマトが何気なくその様子を見ていると、マリアは涼し気な笑みを浮かべながら、Kポッドの頭をひと撫でして、ありがとう、と言った。