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にぶんのいちの春。

フィルムが現像されて、データとネガになってコトンと郵便受けに入れられる。
赤いバイクの立ち去る音を聞いてから、そっと玄関のドアを開けてそれを確認すると、胸が高鳴る。
期待していた分、待ち望んでいた分、すぐに見るのは怖くて、ちょっとの間テーブルの上に寝かせておいて、しれっと「何も期待なんてしてないけど」風に封を開ける。ツルツルとした透明な袋も、硬い紙に固定するためのセロファンテープも剥ぎ取って、黒いDVDケースを開く。裏返されたコンタクトプリントが目に飛び込んでくる。そっと手に取って、それをめくって確認する。落胆する時もあれば、ああ、うん、これだと思う時もある。今回は後者だった。これが、私の見ていた景色。

これは、私の見た景色。ハーフカメラだから、いつもの半分の、春の景色。

PENFT・OLYMPUS G.Zuiko Auto-S 40mm f1.4・Fujifilm Xtra400
Xtra400好きだったな。あと5本、大切に使わなきゃ。

満開の。


雨上がりの朝
溢れる
さく越しの君。
子登る
眩しい朝
ゴッホが描いたみたいなアイリス
雨の日の菜の花畑
雨の日の長靴
光を捕まえる
浦島太郎。
背が伸びた
庭のどんぐり。数年前までただのどんぐりだったのに。
アラレちゃん。
チューリップの花びらの繊細さよ。
コンビのトンビ。
カワウ。鼻の穴がないってほんとうかな。
桜並木、散りはじめは怖くない。
さくら。


さくらそう。
いつもどことなくださくてかわいい。
桜並木をふたりでゆっくり歩く人たちが好きです。
もらってきた枝もさいた。
あまりに一気に咲くものだから、ちょっと怖いなんて勝手ね。
父と子。引き離すことはできない。

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