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とある日曜日の記録。

日曜日、それは安息の日。
日曜日、それは戦いの日。

というわけでとある日曜日の記録。

朝から雨が降っていて、娘が歌っている。
「あめがふったらざーざーざ、あめがやんだらにじさんだ♪」作詞作曲娘。
梅雨入りした東京は、この間から雨が降ったり止んだり。しとしと、というよりざあざあと、時折激しく降っている。

雨降りでも外を見る人。

日曜日というものは、好きなだけ寝てダラダラ過ごしてぷらぷら出かけるものとばかり思っていたが、子供達が生まれて、それぞれが小学校と幼稚園に行くようになってからというもの、最も大変なのは日曜日だと思うようになった。(土曜日は私は仕事なので)

疲れ果てた夫と、まだまだ元気な子供たち。大人が一人多くいる分、これをやってくれたらいいのにな〜と期待しては勝手に失望したりする。もしくはもうできないからテレビでも見せようと思うと「ちょっと見せすぎじゃないか、他のことをさせてはいかがか」的なことを夫に言われて、むむむっとなったりする。かと思えば息子と夫は私から見れば少し危ない遊びをして「ちょっとあぶないんじゃない?」とか言いたくなったりする。
みんなで出かけるとペースが合わず、私がぐったり疲れてしまう。

と、いうわけで日曜日は、各々チームに分かれて過ごすことが多い。
娘の習い事や、夫の通っているボランティア活動が日曜日に多いというのもあるのだけれど、私と娘、夫と息子の2チーム。夕飯は一緒に食べることが多い。それが一番平和である。

この日は娘の習い事の送迎を私がすることになった。教室の近くの唐揚げ屋さんでお弁当を予約して、教室まで送り届ける。絵画教室というかアトリエで、描き方の指導などはなく、好きなものを作らせてくれる。月に一回のこの教室を娘はとても楽しみにしていて、先生も優しい。もっともっと作りたい!の心に沿ってくれて、2時間たっぷり何かを作って満足げに帰ってくる。

夫と息子は公園で友達と遊ぶというので、2時間何をしようかと考えて近くのコンビニに行きカフェラテを買う。イートインのコーナーが2席あって、ガラガラなので座ってパソコンで沼津に行ったことをひたすら書いた。書いているうちに、撮った写真を選んで貼り付けているうちに、風の匂いやそのとき感じたこまやかな感情を思い起こした。旅を追体験してもう一度行ったような気持ちになって、雨が降っている外を眺めた。

昨日日帰り旅から帰ってきて、私は充実感に満足した後に、ちょっとくさくさとした気持ちになった。肉体的に疲れていたのもあったし、何より、もっと旅に出たいと思ったのだ。育児や家事がなければ、もっと旅に出られたかもしれないとちくちくして苦しかった。
けれど書いているうちに、不思議なことにずいぶんと慰められた。きっと「書く」という行為は自分の中での落とし所を見つけるのを助けてくれるのかもしれないと思った。

いい旅だった。行って、帰ってきて、夕飯を食べてお風呂に入って布団に潜り、すやすやと眠った子供の寝顔を見てほっとした。また旅に出たいと思った。

たった二行で収まることを、何千字に書き起こすこと、自分が体験してきたことを頭のメモリーから、白い画面に刻んでゆくこと、それも含めてやっと私の旅がひと段落ついた感覚だった。

パソコンを閉じて席を立った。

娘を迎えに行くまでに車にガソリンを入れて、ワークマンに取り置きしてもらっていたレインウェアを取りに行った。菫色の、上下のレインウェアは思ったよりもずっと良くて、お礼を行ってお店を出た。月謝袋を忘れているよと連絡をもらったので、取りに戻って迎えに行った。

教室から弾けそうな笑顔で出てきた娘と一緒に帰る。手には動物園?だろうか。

大きな唐揚げを受け取って、帰ってから息子と夫も一緒にみんなでほおばる。今回は少し少なめに買ったので、ちょうどよくお腹が満たされた。砂肝のレモン塩漬けが美味しくて、今度は大瓶で買おうかと話す。

日常があって、旅がある。またたくさん旅に出る時がきっと来る気がしていて、それまでに私はこの日常をあたためる。


午後は娘の髪を切りに近所のスーパーの千円カットに向かう。おかっぱちゃんくらいになって、とてもかわいかった。

うれしそうなおかっぱちゃん。

スーパーでやっていたクイズラリーに参加したいというので付き合う。小学校低学年にはなかなか難しいものもあったけれど、にこにこしながら楽しそうで、一緒に問題をさがしたり、答えを確かめ合ったりした。

娘は本当に育てにくい子で、繊細で、常によく泣き、癇癪を起こした。一人でいるのが好きで、お友達は作れなくて、園庭の隅で石を拾って過ごしていた。
そんな彼女が今は、折り紙名人になり、植物を愛でて育て、小さな生き物に関心を持ち、彼女なりに頑張って毎日成長している。
まだまだ、甘えん坊だけれど。

時間は戻らないと実感するくらいに、娘と息子がどんどん一人の人間になってゆく。
晩御飯は義理の父が丹精込めて育てている野菜を、大量に収穫してきてくれたので、リクエストに答えて新じゃがをたくさん入れたカレーと、ヤングコーンをグリルで焼いた。塩をしてたべるとやさしい甘みと食感がとてもよかった。
皮を剥いて出てくる小さな輝く粒たちが、美しかった。

ヤングなコーン。



急成長の人たちと過ごす日曜日はあっというまでめまぐるしいものだとこうして思い返している。
いつかこの日々を、安息日となった日曜日に今よりもっと懐かしく愛おしく思うときが来るのだろうと、こうして書き留めている。

トマトがまた膨らんだ。





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