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センバツ 山梨学院vs木更津総合  見どころ

第94回選抜高校野球
大会3日目 第1試合

山梨学院  vs  木更津総合

優勝を狙える戦力の両チーム
勝負の行方を分けるものは!?


高校野球が好きで試合の結果予想をする人はたくさんいるだろう。ただこの試合に関しては100人いたら本当に50:50になるのでは無いかとさえ思うほど予想が難しい。

投手力、攻撃力、守備力、選球眼
どの角度から見てもほとんど差がない。
しかも全てハイレベルに拮抗している。
両校ともに完成度が非常に高く、スキが見当たらない。

練習試合でも負け数が少なく、普段から勝利への意識が徹底されている点も共通している。

予想が難しい上に、両校の戦力を考えるとこの試合を勝った方が一気にトーナメントを駆け上がる可能性も秘めており、今大会の行方を左右すると言っても過言ではない対戦カードだ。

投手力

山梨学院は榎谷、木更津総合は越井という今大会を代表する右の本格派の対戦となる。

投手データ分析でWHIPという指標がある。これは「いかに走者を出しにくい投手か」を見る指標になるのだが、秋に30イニング以上投げた投手、いわゆるエース級の投手の中で木更津総合の越井は1位で0.74、山梨学院の榎谷は4位で0.81と順位は違うが数値にほぼ差はない。この数値は一般的に1.00を下回ると「素晴らしい安定感」と考えることからも両投手の安定ぶりがうかがえる。

別の尺度で1試合当たりの与四死球を見ても両投手ともにコントロールも良く、越井が3位で1.54個、榎谷が5位で1.67個とほとんど差がない。

木更津総合の越井は140キロをコンスタントに越える、伸びのある速球とキレ味抜群のスライダーが武器。
関東大会で東海大相模打線を相手にしても臆する事なく普段通りの投球が出来た精神面も評価したい。2番手には金網が控える。県大会・関東大会ともに登板、計25イニング投げており安定した数字を残している。

山梨学院の榎谷も140キロを軽く越えてくる速球があり、キレがあり大きく落ちるスライダーで三振を奪えるのが特徴的。祖父、父親も浜松商で甲子園に出場しており3代続けての甲子園となる。筆者はメジャーで活躍する有原投手の広陵高校時代を彷彿とさせる印象を抱いた。
ただ2番手の山田が秋は少し安定感を欠いたことから、榎谷への依存度が大きくなる点は否めない。冬の間にリリーフ陣がどれだけ成長できているかも見どころの一つとなる。

打力、守備力

打線もともにハイレベル。
あえて差をつけて言うならパワーの山梨学院、スピードの木更津総合といった感じか。

山梨学院の秋の成績はOPSという打線の総合指標で見ると大阪桐蔭に次いで2位。OPSは「アウトを取るのが難しい打線か」を見る指標である。打線に切れ目がなくどこからでも得点出来る力強さがある。その中でも1番鈴木、4番高橋は複数の本塁打を放つ強打者だ。
昨年の夏は山梨大会の準決勝で送球エラーにより致命的な失点を与えた経験から、守備陣も良く鍛えられておりフットワークの良さが際立つ。

一方の木更津総合のキーマンになるのは1番の山田か。昨秋の千葉大会では4試合連続の5本塁打という驚異的な結果を残した強打者である。しかし彼の武器はそのパワーよりもむしろ俊足を生かしたスピードあふれるプレーであり、それがそのままチームの特色としても感じられる。木更津総合打線を語る上でデータとして最もチームの特徴を表している数字は3塁打13本という数ではないかと感じる。

試合の見どころは?

上記までで考えるとお互いにハイレベルなのは疑いようがない。このようなチーム同士の対戦では、自チームの良いところをそのまま出せるとは限らない。なぜならハイレベルな相手が自チームの良さを消す策を練るからだ。
当然ながら思い通りにいかないケースが多々出るだろう。

そこで大事になるのは、結局平常心を保てるかどうかという精神面なのではないだろうか。
ミスを引き摺らず気持ちを切り替えて、今自分にできる最善のプレーを心がけられるかどうか。

テレビで観戦される方は、選手・監督の表情やしぐさにも注目して、人間の心理の動きを読みながらこの試合を見ると面白いかもしれない。

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