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配信での定期コメントの作り方

 私は配信モデレーターとして、定型文を作ってコメントする(&それを定期的に流す)ことが割と多い。たぶん4年近くずっとこんなことをやっている。
 モデレーターになった人で、定期コメントの作り方に悩んでいる人がいるかもしれない。なので、どういう点を意識すると良いかを書いてみようと思う。


1.そもそもなぜ定期コメントをするのか

 定期コメントは、リスナーに情報を伝達するために行う。リスナーはいつ配信に来るか分からないので、それを定期的に反復するのである。
 では、リスナーに伝えなければいけない情報はなにか。おそらく、2つのパターンがあるだろう。

  1. 配信者からリスナーに伝えたい情報

  2. リスナーが知りたいであろう情報

 おそらく、この2つだ。

 私は1つ目の定期コメントをしたことはないが、配信マナーについて書いたり、参加型配信での条件を書いたりすることが多いと思う。こちらは、そんなに難しい問題もないだろう(ただ、文章化のコツについては参考になるかもしれないので、そういう方は2(4)をご覧になると良いかもしれない)。
 本稿では、2つ目の定期コメントについて書いていこうと思う。

2.リスナーが知りたい情報を定期コメントにする方法

(1)具体例

 実際の定期コメントの例を載せてみよう

 ↑の5のところで載せているけれども、

【定期】Apex Legends Asia Festival日本予選(6試合)です。チームRu(w/z LEON代表さん・6面さん) 日本からは、予選上位3チーム+招待枠2チーム=5チームが、決勝(@マカオ・8/19-20)に進出できます。なお、5分遅延で配信しております

 というようなコメントを載せたりしている。
 このコメントでは、①大会名、②試合数、③チーム名、④同行者、⑤決勝進出条件、⑥決勝の日程、⑦遅延の内容、という7つの情報を盛り込んでいる。

(2)リスナーが知りたい情報(ニーズ)を把握する

 定期コメントをするときに私が意識しているのは、まず「リスナーに伝えるべき情報はなにか」という点だ。
 言い換えれば、「リスナーが知りたいであろう情報」ということになる。これは配信内容によって変わるだろうから、一概にはいえないが、ある程度経験を積むと、リスナーから頻繁に寄せられる質問が分かるようになってくる。
 大会であれば、基本的に上記のような大会名(①)、試合数(②)、同行者(④)、遅延の有無・程度(⑦)といったあたりが、よくある質問だ。それと、特殊な条件があるような場合は、その点についても質問されることが多い。ただ、同行者については、配信者が配信タイトルに載せていることもあるし、そもそも配信画面を見ていれば分かることも多い。なので、私は省くことも結構多い。ただ、(言い方は悪いが)デビューしたての配信者など、余り有名でない配信者の場合は、紹介も兼ねて載せることも多い。

 定期コメントを流す際には、まずリスナーが何を知りたいと思うのか、というのを先回りすることが大事だ。ただ、不慣れなときは、配信中に受けた質問に応じて、定期コメントを加筆修正していくと良いと思う。

(3)リスナーが知りたい情報を収集する

 次に、リスナーが知りたい情報を把握したら、それを収集することになる。
 これもケース・バイ・ケースであろうが、大会の情報であれば、公式Twitter, 公式HP, 公式YouTubeチャンネルなどを読む。そこで、必要な情報は大体手に入る。
 ただ、事前に余り細かい情報を載せない大会も少なくない。そういうときは、公式配信の冒頭でルール説明をすることも多いので、公式配信を見て、適宜止めながら情報をメモするようにしている。

 厄介なのはALGSのような大会で、私はBattlefyやKobesportsなどのサイトから情報を集めるようにしている。ただ、それでも十分な情報が集まりきらないことも多いので、さらにGoogleで検索したり、Twitterで検索する。

(4)収集した情報を取捨選択して文章にする

 情報を渉猟すると、かなりの情報量になる。そこでまず行うべくは、取捨選択だ。情報は多ければ多いというものではない。不必要な情報が混ざっていると読みづらくなるし、読んでいて不快になる。だから、不必要な情報は削ぎ落とすべきだ。
 たとえば、マップローテについては、書くこともあれば書かないこともある。キルポ制限は書くことも多い。「これは入れた方がいいな」「これは削っていいか」といったような判断をしながら、情報の取捨選択をする。

 情報の取捨選択をしたら、それを文章にしたためる段階となる。
 詩や短歌を書くわけではないので、芸術的な文章を書く必要はない。よく「私は文才がないから…」という人もみるけれども、ここで必要なのは文才ではない。一義的で明確な文章だ。
 つまり、取捨選択した情報を、一義的かつ明確に並べて文章化することが、ここで重要なことだ。人を感動させる文章である必要はない。
 ここで私が特に意識しているのは、以下の3点。

  1. 主語・述語を明確にする

  2. 論理関係を明確にする

  3. それぞれの情報の存在意義を明確にする。

 これは、具体例を示しながら説明した方が分かりやすいだろう。

【概要】ALGS SP2 Playoffです。優勝チームは約4,300万円の賞金が与えられるほか、SP1 Playoffとの合計ポイント上位26チームがChampionshipに出場できます。今日・明日が予選、明後日がWinnersとLosersで、明々後日がFinal(ポーランドルール)です。今日は18試合=朝4時くらいまでの長丁場となります。

 これは、私が昨日のALGSミラー配信で作った定期コメントだ。
 ここで私が特に意識したのは、①このPlayoffで勝つことに何の意味があるのか、②Playoffのマッチシステムはどうなっているのか、③配信時間がどのくらいになるのか、という3点を明確にして伝えることである。
 ①については、この大会そのものに高額な賞金が設定されていることと、さらにChampionshipというALGSの頂上決戦への参加権が与えられていることが重要だったので、その2点を明記した。そして、この両者は並列的な関係にある。つまり、賞金とChampionship参加権は、それぞれ独立した報酬であるから、その旨も「賞金が与えられるほか」というかたちで表現している。
 ②については、今日はあくまで予選であり、今日・明日の予選結果を踏まえてWinners/Losersに進み、その結果を踏まえて最終的なFinalが行われるということを示したかった。というように、そこで重要なのは、大会が予選→Winners/Losers→Finalという3つのフェーズに分けられるということ。なので、私の文章は、読点を2つ使うことでこの3つのフェーズに分かれることを明記した。逆にいうと、「今日は予選1日目、明日は予選2日目、明後日がWinnersとLosers、明々後日がFinalです」という記述にはしなかったということ。日付で情報を分けると逆に分かりづらくなる。この大会における本質的な要素は、4日間あることではなく、3つのフェーズに分かれているということだ。だから、情報も3分割している。
 ③については、2~3時間程度の配信だと勘違いするリスナーが出てきそうなので、超長丁場になるということを伝えるものだ。ここで重要なのは、試合数が18試合あるということではない。18試合あるので、朝4時くらいまでかかってしまう、ということだ。重要なのは終了時刻であって、試合数そのものではない。試合数はあくまで、終了時刻が4時になることの根拠にすぎない。なので、18試合やるから朝4時までやる、ということで、伝えたい内容をきちんと明確化するようにした。
 そして、最後に意識することは、情報の並べ方だ。私の上記の定期コメントは、(a)大会名、(b)大会に勝つことの意義(上記①)、(c)大会の流れ・システム(上記②)、(d)試合数と配信終了予定時刻(上記③)という順序で書いている。そして、一つ一つの文では、対応する情報以外のことを書いていない。つまり、第2文では①の内容しか書いていないし、第3文では②の内容しか書いていない。第1文で③の内容が混ざったり、第2文で①の内容が混ざったりすると、ごちゃごちゃですごく分かりづらくなる。1つの文で盛り込む情報は、同質の情報にすべきだということ。きちんと一文一文に意味を持たせることを意識すると良いと思う。

 あと、今回はあまり記号を使っていないが、割と記号を使うことも多い。日本語で文章を全部書くと、正直いって読みづらいことも多いからだ。だから、適宜記号を使うことにより、記述を簡素化することもしている。

(5)定期コメントを流すタイミング

 定期コメントを流すタイミングは結構難しいが、考えた方が良い。しょちゅう流れたらコメント欄が埋め尽くされて邪魔だし、逆に全然流れなければ意味がない。
 私の場合は、内容にもよるけど、配信やコメント欄が落ち着いているタイミングや、質問があったときに流すようにしている。
 逆にいうと、戦闘中とかコメント欄が盛り上がっているタイミングでは流さないようにしている。端的にいってただの邪魔でしかないからだ。

 頻度については、定期コメントの内容にもよるが、特に質問がなくても30分に1回くらいはコメントすることが多い。逆に、連投しないように最低でも10分は空けよう、と判断することも多い。
 この辺はさじ加減が難しく、「何度も流れてうざい」という人もいれば、「ちょうど来たときに説明してくれて助かる」という人もいるから、うまい塩梅でやることを意識すると良いと思う。

3.おわりに

 というように、定期コメントを作る際のコツを書いてみた。
 定期コメントを作るときに悩む人の多くは、「文章をうまく書けない」というところなのだろうけど、文章を書く技術そのものはさほど重要ではないと思う。
 むしろそれよりも重要なのは、情報の整理だ。この情報はなぜ必要なのか。それぞれの情報相互の関係はどうなっているのか。そこを整理することが大事で、それがちゃんと整理できれば、半ば箇条書きのような文章でも分かりやすい文章になる。
 文章化の際に意識すべきことは、一義的であることと、1つの文に違う話を混ぜないこと。

 この辺を意識すれば、重要な情報が過不足なく盛り込まれていて、かつ読みやすい定期コメントになると思う。

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