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14. メキシコの土木作業員さん達

以前「土木作業員(アルバニール)はいい加減でなんぼ」的な記事を書いたが、それは決して誇張ではない。この国に住んでいるからと言って、必要以上に良くも、必要以上に悪くも書くつもりはない。そのまま、書いている。

どの国でも大抵がそうであると思うのだけれど、土木作業員はほんとにピンからキリまで。おとっつぁんの背中を見て育ち、若い頃からこれ一本でやって来ている親方もいれば、何らかの事情で自分の田舎に帰れなくなり、流れ流れてここでほんのひと時、誰かに誘われてやっている人。彼ら土木作業員とその周辺の人々のお給料ってどんな感じなんでしょ。

メキシコのこの辺りのアルバニールや建築関係の賃金相場。
見習い、まだ一人じゃ任せられない若い衆 250-400ペソ/日(1250-2000円)
ベテラン、親方レベル 600-700ペソ/日(3000-3500円)
鉄筋関係親方 600-800ペソ/日(3000-4000円)
電気設備、水道設備などの専門職 500-600ペソ/日(2500-3000円)

すごく安いです。
桁間違えたかと思うぐらい、安いです。
でも、大卒一般職の初任給が5万円弱のこの国ではこんなもんなんです。
一日、朝9時から夕方6時まで。食事休憩は2回。日本である「お茶の時間」はなし。その間、日本ほど効率的ではないけれど、スピードを落とさずにずっと、ずっと、ずっと、作業をしている。彼らには彼らのリズムがある。
チーム内、一番手慣れていて慎重に仕事をする派なのはフリアン。ブロックを積みセメントを挟み、の繰り返しなのだが、ブロックごとにきちんと水平垂直をささっと測り、曲がり歪みがないように(当然だけど)やっている。そしてリズミカルで無駄な動きがない。
 ヘスス1がどこからか連れてきた20歳にもならない若い子は、仕方なくやっている感が強く見られ、仕事にもそれが現れている。意図的に半分にしたのではない「崩れた」ブロックを無理やり隙間にねじ込んでいたり、積み上げたブロックの隙間に入るセメントの層の厚さがまちまちなために歪みが生じていたり。新入りだ若いからだ、という問題ではない。ちゃんとしない人、なんだ。

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クマ夫には家の設計図が出来た時点から「建設が始まったら、現場に入って欲しい。現場の一員として作業をしながら、作業員が手を抜いたり良い加減な仕事をしないように見てほしい。それと同時に、そこで習ったことは必ず今後、その先の作業工程で私たちにとって役立つものだから、覚えて来てほしい。」と言ってあった。
同じ国の男であるクマ夫、アジアから来た女の私。何をどう考えても、現場作業に関しては私の出る幕ではない。これは一番歯痒かった。私がメキシコ人(メキシコ人じゃなくても?)で男だったら、毎晩彼らと寝食を共にしてでもずっと一緒にいて作業をし、あれこれ口を挟みたかった(うっとうしいだろうな)。
事実、前出の若い子の仕事ぶりにはちょっと納得がいかなかったので、ヘスス1経由で指導をしてもらい、やり直しをしてもらった(で、お給料もらった翌週から来なくなったよね)。
素人目(私の目だ)から見ても、明らかに「上手」「下手」がわかるブロック積み。手の感覚でリズミカルに、そして体に負担をかけにくく作業する技術を持つフリアンだが、そこはメキシコ。同じチームだからと言って特に上下関係が厳しいわけではないから教育もしない。ここは私からしてみれば雇ったヘスス1の責任だと思う。新入りをすぐに親方レベルの技術に持っていくのは難しい。でも、出来上がった家に住むのは客。誰だって歪んだ壁の家に住みたくはない。彼らとは「技術の標準化」について何度となくやり取りすることになる。

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