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宇宙よりも遠い場所に娘と自分が救われた話

タイトルはそのままなんですが、「救われた!」なんてそんなオーバーな!と思われるかもしれません。
でも、自分にとっては真実であります。今でも大好きです。「宇宙よりも遠い場所」。

このアニメ、放映しておりましたのは2018年。もう数年前でございます。現在では各種配信サービスにて一気に見ることもできます。
当初、自分はリアルタイムで単純に面白いな、と思って見始めていたのですが、11話まできたところで胸に突き刺さるものがありました。主要登場人物の一人三宅日向ちゃんと自分の娘の環境が似ているところがあったからです。


学校に行けなかった娘


彼女(日向)は高校の陸上部で頑張って1年で選手に選ばれたのですが、本人の前では彼女を応援していたはずの同学年の友達が、先輩の前では手のひら返しをしているのを聞いてしまい人間不信となり、更にそれからいろいろあったらしく、結局高校を中退していました。

彼女は言います。

「相手の気持ちを考えすぎるので、自分が苦しくなってしまう。」

そして

自分の娘は小6くらいから起立性調節障害という病と診断されていました。

中学校に入学しても、朝起きられない、学校へ行っても自律神経の乱れからかすぐ熱を出して早退・・・の繰り返しでした。

その結果、休みがちになって、元々内向的な性格とあって友達の輪に入りづらくなって、ますます学校に行きたくなくなる、という負の連鎖で、中学へ行けたのは3年間で1年もあったでしょうか。

元々の性格もあるのでしょうが、娘も過ぎるほどに周りに気をつかってしまうタイプで、運動会の練習に出ていない自分がみんなに迷惑をかけてしまうのではないかとやる前から悩み続ける…
自分はいつしか「よりもい」の三宅日向と娘を重ねて見ていました。

高校の選択

中学にほとんど行けていなかった彼女も進学の時期になりました。
そんな彼女には選択肢はほとんどありません。
都立のサポート校か、通信制高校か、それともそのどちらでもないか、です。
さんざん悩みましたが、彼女は通信制の高校を選択しました。

親としても娘の選択を尊重して、気持ちよく賛同してあげたかったのですが、その時、本音を申せば親として心の隅に「普通の高校」に行けなかった、という残念感があったのは正直否めません。

通信高校の生活


後から聞いた話ですが、通い初めて最初のころは、中学の時のクラスメイトが明るく楽し気な高校生活を送っているのに、自分は一人部屋に閉じこもって勉強をしていて、そんな姿を元クラスメイトが「可哀そう」と同情しているんじゃないかと思われているんじゃないか、それがとても嫌だったそうです。
(この辺が「よりもい」の日向とかぶるのです)
実際には、彼女の思い込みなんですが、高1の時は元同級生ともほとんど連絡を絶っていました。(今はクラスLINEとかがあるので)
時々ある高校のスクーリングでも授業が終わればまっすぐに家に帰ってきてきておりましたし、自分の部屋で過ごす時間が長くなっていました。
とはいえ、勉強はまじめにやっておりましたし、もともと通信教育のレベルがやさしめなのかもしれませんが、成績はオール5でした。

私が娘に「宇宙よりも遠い場所」を見てみたら、と勧めたのはこの時です。

宇宙よりも遠い場所と訪れた転機

配信で見た「よりもい」
娘はパパが好きそうなアニメだよねえ、と笑っていましたが、なにか感じるところがあった(と信じたい)ようです。

高校2年に上がると同時に、彼女はだんだん変わってきました。
起立性障害という病気が年齢とともに軽快することが多い、ということもありますが、それ以上に精神的に強くなっていったような気がします。
この年、娘は生徒会活動に参加したり、放送大学の講義を取ったりしていました。親から見ても、だんだん積極的になってきたなあ、と思えました。
高校の友達とも交流するようになりました。
1年生の時は授業が終わるとそそくさと帰ってきてしまったのが、友達と夕方遅くまで学校で勉強する、という様になってきたのです。

そして迎えた高校3年生の年、2020年はコロナの年になりました。
この年の受験生は急に学校が休校になったり、勉強のペースが乱れて本当に大変だったと思います。
通信制高校もただでさえ少ないスクーリングが中止になってしましました。しかしながら、娘は高校入学以来自主学習に慣れていたせいか、それほど勉強のペースは乱れなかったようです。
毎日部屋に篭って、長いときは一日10時間以上勉強していました。

受験本番


志望校にはあと一歩手が届きませんでしたが、逆に記念的に受けた大学に合格。
いずれにせよ、高校に入ったときは思いもしなかったランクの大学でした。
お恥ずかしい話ですが、私の母校より上の大学群なのです。
でも、自分は何よりもコツコツとやり遂げたその頑張りが嬉しかった。
予備校や塾にも行かず、独学での受験でした。
ただ、高校のサポートはとてもよかったです。疑問点があるとトコトン先生が付き合ってくれた、と彼女は言っていました。
「ざまぁみろ!」
と本人が言ったかは定かではありません。

そして現在

大学へ入学して1年が経過しました。
1年生のときは無遅刻無欠勤でした。
中学生の頃からした考えられません。
大学入った当初、周りの子は皆、所謂進学校出身者ばかりで、勉強についてくのがやっとだよ、とこぼしていましたが、それもなんとか慣れてきたようです。
そして、友達には自分が不登校経験、通信制高校卒業生ということを包み隠さず話しているとのこと。
彼女が入学したところが、子どもの成長・発達及び活動の様子と大人や社会による支援の様相に関する学習を行う学部だそうで、将来は自分のような子供をサポートする、教育関係の仕事に就きたいという夢を持っているそうです。

まだまだ色々な壁が彼女に待ち受けているとは思いますが、それでも身体は小さくても心が大きい日向ちゃん、のように何事に対しても明るく対峙していってほしい、と祈るばかりです。


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