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チームを救ったサラビア。トッテナムは試練の時か。

プレミアリーグ第13節、ウルブスvsトッテナムの一戦。
トッテナムは前節チェルシーとの試合でついに無敗記録がストップ。そのチェルシー戦ではCBロメロとSBウドジェが退場にCBファン・デ・ヴェンとMFマディソンは怪我で途中交代を強いられ、9人になっても強気のハイラインを保ち続けるなど色々な面で話題となった。
今節でも上記の4人は欠場し、特にCBは誰が担当するのか試合前からよそうが楽しみな試合だった。

スタートは以下の通り。

両チームのスタートイレブン

注目となったCBには前節途中から入ったダイアー、そして負傷明けの本職SBのデイビスが組むことに。退場した左SBウドジェの代わりにエメルソン、負傷交代したマディソンの代わりはホイビュアがスタートに選ばれた。

トッテナムのB-up

最高の出だし。開始2分に先制点。

戦前の予想通り、試合開始からトッテナムがボールを保持し、ウルブスが構える展開に。トッテナムの狙いはウルブスの3MF脇スペースを起点にB-up。
左サイドではIHに入ったサールがベルガルデの脇に落ちて起点を作る。右サイドではSBペドロ・ポロとIHホイビュアが入れ替わる事によってジョアン・ゴメスのマークから上手く抜け出していた。
試合は早々に動く。先述したようにサールが右サイドで起点となり、相手陣地深くまで侵入。そこから逆サイドのクルゼフスキに展開(パスはおそらくミスキックだったが)。その瞬間にSBのポロがオーバーラップし、クロスをファーから中央に入ってきたジョンソンがプッシュして先制点。
怪我や出場停止などのアクシデントを感じさせない、最高の出だしとなった。
逆にウルブスとしては非常に痛い先制点。ファーストチャンスをモノにされ、開始2分でのビハインドは精神的に少なからず影響を及ぼすかのように見えた。

時間が経つにつれて、こう着状態に。

このままトッテナムが試合を優勢に進めるかと思われたが、時間が経つにつれて膠着状態に。その原因はウルブスとトッテナムの両方にあった。

ウルブスの原因は自分達の守備をはっきりとマンツーマンにした事、無理に奪いに行くのではなく中盤でブロックを組んで守備を行った事、の2つである。
まず1つ目のマンツーマンにした事、これは「左SBエメルソンとACビスマ」「右IHホイビュアと右SBペドロ・ポロ」などトッテナムはスタートの立ち位置は決まっているが、流れの中でのポジションチェンジが許されている。
また、先制点や前節の1点目のように相手のプレッシングを観てIHが落ちてくる事も許されている。この場合に最初はついていかない選択をしていたが、途中からマンツーマンにした事でトッテナムの位置的優位がなくなった。

トッテナムの原因は一言で言うと「マディソンの不在」に尽きる。ウルブスがブロックを作って構える、という選択をした中でトッテナムはボールはある程度持てるが中々相手PA内には侵入できない。その要因としては相手が構える中で狭いスペースにパスを通せるだけの配給力がピッチ上の選手にいなかった事が挙げられる。
IHのホイビュアやサールはそもそも狭い局面でのプレーを得意とはしておらず、ACのビスマは狭い局面でボールを受けて捌く事やドリブル打開する事はできるが、パスの配給という面ではそこまで高くはない。
CFのソン・フンミンが落ちて相手ブロックの前で受けにくるシーンは、前節までは多く観られなかった事から痺れを切らして受けに来たと考えられる(ポチェティーノの指示だったらすみません)。実際、落ちてボールを受けに来ても効果的にボールを動かせているシーンはほとんど無かった。


ウルブスの狙い

試合が膠着した状態からはウルブスの狙い通りに試合を進めていたが、決定的なチャンスを作るまでには至らない。
起点となるのは両WB、特に右サイドのセメドは多く起点となっていた。トッテナムのSBはゾーンで2人を監視する事が苦手で、ロングボールに対してアプローチできず前進されるシーンが散見された。
WBを起点としたボールの動かし方は明確に見えているものの決定的なチャンスを作るまでに行かない原因は、明らかにアタッキングサードでの受け手と出し手のタイミングのズレにある。
受け手の欲しいタイミングと出し手のパスを出したいタイミングがこれでもか、というくらいズレてGKやDFに阻まれる、スルーパスがそのままゴールラインを割る、という観ている側(特にウルブスファン)からすると相当なフラストレーションを溜めていたに違いない。

後半に入っても流れは大きく変わらずに進む。
トッテナムは上手くシュートシーンまで持ち込めず、ウルブスはB-upとカウンターで攻め込むもラストパスが前半同様に絶望的に上手く行かない。トッテナムは後半に入って横にドリブルをしてマンツーマンを動かしたり、ポジションチェンジを中心に攻撃を組み立てるが、最後の局面は崩せない。

途中出場の選手で明暗別れた両チーム。サラビアはゴラッソを含む1G1Aでチームを救う救世主に。

このまま終わるかと思われた後半、チームの差を分けたのは交代選手の出来だった。
トッテナムは後半の早い時間帯にベンタンクール、75分にブライアン・ヒルとロ・チェルソを投入し追加点を狙うもののそこまで大きなチャンスは作れない。
逆にウルブスは73分にターゲットになれる身長200cmのFWカライジッチを投入。87分にはMFサラビアとドイルを投入し、それまでFWをしていたファン・ヒチャンをWBにした事でドリブル突破を試みる。
そして迎えた90+1分。スローインのクイックリスタートからファン・ヒチャンからのクロスをサラビアが右足でコントロールして左足でシュート。まるでゲームかのようなスーパーゴラッソが決まり、スタジアムの雰囲気が一変する。そして90+7分にはこれまたFKのクイックリスタートからサラビアがクロスを入れるとVOレミナがワンタッチで逆サイドに流し込み逆転。試合はそのまま終了となった。

ウルブスとトッテナムの今後について

試合はウルブスが2vs1で逆転勝利を掴んだ。
ウルブスは全員がハードワークをやり切ったこと、特にアイ=ヌーリとレミナの貢献は凄まじいものがあり、最後レミナが決勝点を決めた時は「ようやく報われた」そんな感情を抱くほどチームに貢献していた。攻撃面でも一人一人の個性が感じられ、今後に向けて非常にいいゲームが出来たと言えるのではないだろうか。

一方のトテナムは連敗。チームとしてボールを動かす事は誰が出ても一定のレベルまで浸透しているが最後の崩しの局面には改善が必要と言えるだろう。ワンタッチで相手ブロック内に縦パスが入る、ドリブルでサイドから切り崩すなどパターンがあっても良いかもしれない。ただ、就任1年目でまだ半年も経っていないことを考えるとこれまでが十分すぎる結果だろう。ただ、マディソンとファン・デ・ヴェンは年明けまで帰ってこない事を考えると次の策は必要だろう。
ACビスマを1列上げるのか、WGのジョンソンやクルゼフスキを内側で使うのか、別の選手をIHにあてがうのか、システムや崩しの局面を少しいじるのかポステコグルーの回答やいかに。


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