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昔、母が作ってくれた『にんじんゼリー』

『にんじんゼリー』のレシピだと思った方、すみません。最初に言っておきますと、この記事はレシピではありません。

ただの私の個人的な『にんじんゼリー』の思い出話です。どうかお付き合いください。

鮮明に記憶に残る『にんじんゼリー』

キャロットケーキに興味を持ち自分で作り始めたころ、ひとつの思い出が頭をよぎりました。私が小学生くらいのころ、母がよく作ってくれていた『にんじんゼリー』です。

作ってくれていたのは、もうかれこれ20年以上前のこと。学校から帰って冷蔵庫を開けると、赤いプラスチックトレーにいくつも並ぶ白い小さなココット陶器。お店で売っているフルーツゼリーのように透明でつるつるの表面ではなく、浮き出た気泡のせいなのか少しざらっとしたような見た目で、オレンジ色のにんじんゼリー。

私の記憶では、7歳上の姉はこのキャロットケーキが大好きで、5歳上の兄はそれほど好きではなく、私は特に好きでも嫌いでもなく、三者三様でした。

20年も前のことなのに、こんなにもはっきりと記憶に残る親の手料理って不思議ですよね。

そしていま、

そしていま私は「自分の子どもに少しでも体にいいものを食べてほしい」と思いキャロットケーキを作っている。

聞いたことはないし今さら聞くのも恥ずかしいので真相は分かりませんが、当時の母も同じことを考えて作ってくれていたのかな、と思うと感慨深いものがありますね。やっぱり血は繋がっているなと。

残念なことに小学1年生の長男はチーズフロスティングしか食べてくれませんが(笑)、3歳の長女は「きゃろっとけーきー!やったー!」と言って笑顔で食べてくれます。はい、最高です。

「わざわざキャロットケーキ専門店なんてやらなくても、この笑顔だけ見られれば十分かな」なんてことも思いつつ、「やっぱりたくさんの人にも食べてほしいな」と思うのでした。

記憶が蘇るキャロットケーキに

匂いを嗅ぐことで、記憶が蘇る現象を「プルースト効果」と呼ぶほど、「香り」というのは、記憶と密接な関わりがあるそうです。

そしてキャロットケーキは、シナモンなどスパイスの「香り」が特徴的なケーキ。

夜ご飯のあとに恋人と分けて食べたキャロットケーキ、
家族みんな「美味しいね」と言いながら食べたキャロットケーキ、
週末の朝にひとりでゆったりと食べたキャロットケーキ

お母さんやお父さんの手料理には敵わないだろうけれど、20年後ふとシナモンが香ったときに記憶が蘇るようなキャロットケーキになれば嬉しいなと妄想するのでした。


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