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普通の人がモンスターに


 ユーザーがクレーマーに変身するときは『分岐点』とか『スイッチ』というものがどこかにあることが多い。
 ただ、当事者にはそれらが見つけにくく、パニック対応となり、お互いが深みにハマっていく。
 ありがちなトラブルでも客観的立場に立って分岐点やスイッチに気づくことが出来たら少しはトラブルになる可能性も減るかもしれない。

    ユーザーは女性だそうで、5年ほど前から来店するようになり、車検もこの相談してきた事業場で2回受けているらしい。
 定期的にオイル交換も来るというのである意味常連と言えるかもしれない。

 車は他府県で購入した軽の中古車。

 当方に相談があった当時の話では、登録後15年は経過し、走行距離も16万Kmを超えていたようだ。

     その女性ユーザーが「エンジンから変な音がする」と車を持ち込んできたことからこのトラブルは始まったそうだ。

 音はエアコンのコンプレッサーからで音源はベアリングという診断をしたという。

 ただ、部品供給はassyしかなく、コンプレッサーの新品はそこそこの金額。
 そこで年式や走行距離を考慮し、事業場はリビルド部品を斡旋した。
 コンプレッサーをリビルド品に交換して依頼のあった音は『消えた』

     数日後、今度は「ランプが点いた」と持ち込まれた。
 オーバーヒートの警告ランプだったそうだ。

    サーモスタットに繋がるバイパスホースから水が漏れていたようで、ランプが点いてすぐの入庫だったので大事に至らず、バイパスホースを交換して納車したという。

 さらにその数日後、再び音がし始めたとの訴えがあり、また水漏れもしている(オーバーヒートの警告ランプは消灯)という電話があったという。

     電話口でかなり怒っていたそうで相談事業場は、作業に落ち度はないと思っているといっていたが、この時はまだ原因がわかっていない。

 とりあえず、大至急伺うといって代車(普段は絶対にやらないが展示中古車)を用意し、ユーザー宅へいったそうだ。

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車の故障・トラブルには強いけど、販売、経理、保険等、修理以外のことはちょっと苦手なのが自動車整備士。様々な実例を知り、予防策を構築してくだ…

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