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父について。

これまで、母のことを主に書いてきた訳だが、父ついてあまり語っていなかったように思うので書いてみる。


父は、治安の悪い片田舎の出身で、水商売の母親とそこに来るヤクザに囲まれて育ったらしい。父親を早くに亡くし、長男としてそれはそれは可愛がられたそうな。

(とはいえ、全部母から聞かされたものなので信憑性がどこまであるかは疑問だが)

父は発達障害の傾向もあるらしく、遠足に行った時などに「よく迷子になっていた」と何故か誇らしげに語っていた。先述のヤクザとのやり取りを語る時も自慢げだった。

基本的に、父の価値観を理解することは困難を極める。彼の中では、世話をしてくれる存在さえいればあとは無関心のようにも見える。

例えば、私が実家を脱退したことでさえも、彼の人生に影響を与えるとは思えない。娘が会いに来なくとも、孫に会えなくとも、彼にとってはさほど重要なことではないのだと思う。

もちろん、そのことによって機嫌を損ねることはある。しかしそれは、“俺という存在を蔑ろにした”という理由から来る怒りであり、決して会えなくて心配だとか、そういう事ではない。

彼の中で興味があるのは、“自分”しかないのだと思う。いかに自分が心地よく暮らせるか。それには、身の回りの世話をしてくれる母がいれば、全て事足りるのだ。




そもそも、父は子どもがいらない人だった。彼自身が育ちきれていなかったから、当然だと思う。
しかし、母がそれを押し切り、不妊治療までして兄と私を産んだ。子どもがいる今でこそ、産んでくれたことについては感謝しているのだが、それまでは本当に「何で産んだんだろう」と疑問しかなかった。

母に言わせると、産まれた時は泣いたし、可愛がってくれたそうだが、それも子どもの精神年齢が彼より低い頃の話だ。あっという間に父の精神年齢を追い抜いてしまった兄妹は、四六時中父の愚痴を吐く母の影響も受け、心の中で馬鹿にしながら話を合わせるのみであった。

父は、私を愛していたのだろうか?機嫌の良い時は、可愛がってくれたと思う。それこそ幼い頃には、父と二人で笑っている写真もある。
母が「裏で子どもの悪口を言っている」と言っていたので信じられなくなったが、今思うと少なくとも母よりは純粋に子どもたちを(彼なりに)愛していたのではないかと思う。

愛情表現の仕方は人それぞれで、受け取り方によっては苦痛でしかないのだが、学費を出さずとも、目の前で癇癪を起こそうとも、彼の目線から見た世界では、もしかしたら子どもを愛していたかもしれない。

母からは、子どもをコントロールしようという悪意が常に感じられた。(母にとって)正しい時は笑う、誤っている時は怒る、と言う風に、自分の導きたい方向へ子どもを誘導していた。

父からは、それが感じられなかった。癇癪を起こす時も、彼は常に純粋であった。子どもが純粋であるが故に時に残酷なことをするように、父も自分の感情に素直に生きていただけなのだと思う。

それは、“親”としては間違っていると思うけど、人としてどちらの方が信用できるかと言われると、私は母より父を選ぶかもしれない。(どちらもどんぐりの背比べだが)

父は、自己愛性パーソナリティ障害であり、本当に無意識に他人を操る術を持ち合わせていたのだろう。機嫌によって周りを支配し、自分の思い通りに事を進める。それが、彼の世界なのだと思う。

それにまんまとハマった母は、彼の駒として動きつつ、そのストレスを子どもを駒として動かすことで発散していたのかもしれない。人から支配されるというのは物凄いストレスだ。それが何十年ともなると尚更。軟禁されているに近い心理状態かもしれない。

だから母は、意識してか無意識か、私を意のままに操るのが楽しかったのであろう。自分が夫の機嫌を取るように、娘が自分の機嫌を取るのが愉快で堪らなかったのかもしれない。

もちろん、(父は分からないが)母はこんな家族の形を望んでいなかっただろう。でも、日々徐々に自分の行動を侵食されていくと、気付かぬ内に洗脳にハマっているのだ。

私が実家から出て思ったことは、“やっぱり自分の家はおかしかった”ということだ。中にいる間は意外と分からないものである。外から眺めてみて初めて、いかに異質で、奇妙で、家族として成り立っていなかったかがよく分かる。

母はまだあの家にいるので気がついていないようだが、宗教の洗脳とそっくりではないだろうか?中にいる内は分からない。外へ出て、時間をかけて初めて、客観的に実家を眺める事ができるのだ。




私が独立して家を出た時、私は「自分無しで家が成り立つだろうか」とずっと心配していた。蓋を開けてみれば、自分がいた時と何も変わらず、むしろ「子どもが出て行ってからお父さんの機嫌がいい」と言われた。

ずっとあの家にいろと言われ、ずっと尽くしてきたのに、実は要らない存在だったらしい(笑)。こうなるともう、笑うしかない。

以前はこの事に傷ついたりしたものだが、今ではWIN-WINなら良かったですね、と思う。ほら、最初から子どもいらなかったじゃん。夫婦二人で最後まで共依存してれば良かったんだよーーーとは、言わない。




あっという間に2日も空いてしまった。
「スキ」してくれた方、ありがとう。

暑さに負けぬよう、頑張ります。
おやすみなさい。また、あした。

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