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コロナ騒動から知能への旅

「やっぱり,出たか!」と,夫は朝刊を見て,言った。

「いや,それ,公式発表していないだけで,船から降りた人いるからさ,そりゃでるでしょ・・・」と,夫でなくても誰もが思ったに違いない。

だから,ついに,居住エリアでコロナ感染者が出た!って,今更なのだわ。

先週の木曜日,いきなり団子で「公立小中高の学校は3月末まで休校!」という大本営発表が発表され,都道府県に通達される運びとなった。

正直,教育現場は混乱だろう。

そーいえば,こういう年度末のクソ忙しい時に限っていきなり団子通達って,わたしが公立学校にスクールカウンセラー(以下,SC)として勤務していた時にもあったなぁ。

あの時は,いじめ問題が社会的事件になって,SCが全校配備されていたから,特別予算でいじめ撲滅運動するぞ!「生徒全員面接だ!SCがやってよ!予算あげるから!」という鶴の一声が年度末の学校現場を直撃したのだった。

学校現場に部外者として入ると,まず,壁にぶちあたるのが「そういうことやりたかったら,前年度の年度末までにあげておいてよ。こっちは教育は年度単位で計画してるから変更できないよ」というものだった。

だから,いくら担任の先生と「心理教育(心が折れてしまうことを予防するエンカウンターグループなどをSCがやる)やろぜ!」なんて,意気投合しても,管理職に止められること多々。

そして,やる気のあるヤングな教員あるいは,志のある教員はこれ以外のいくつもの壁にぶち当たって,学校システムという巨大なものに巻かれていく構造があることを知った。

先生たちひとりひとりはすばらしいのに,そこに集団がうまれ,組織ができてくると別の動きをもつことは,社会心理学ではいくつも報告されているし,だから,学問になるくらいで,個人と社会は別物だ。

「目の前でおこっていることを淡々と見ていく。何もできない自分に耐えられなければSCはできない」と,SC業界の重鎮である教授がある学会でおっしゃった。

わたしが所属している大学院の教授だったから,指導教授ではなかったけれど,授業はとっていたので,教授ほどでもそうなのだから,ペーペーのわたしが何もできなくてもいいのだ!と,大手を振って新米SCでいられた。

もちろん,この言葉のまま,何もしなくていいわけではなくて,社会リソースを探したり,自分ができる範囲内で支援はするし,手に負えないケースはSCのリーダーに相談したり,管理職に相談したり,外の力を借りる。

だから,何もやらなくていいわけではない。

何かを突然するのではなくて,何か始めたいなら,根回ししてネゴシエーションしないとダメなのだ。

かなり,コミュニケーション力が高くないとやっていられない仕事がSCだ。

いや,SCだけではない。この世に介在するわたしたち人間が作り出したしくみ,例えば,学校や仕事は,すべて人間関係で成り立っているから,対人関係を築き,円滑に維持していく力は必須だ。

だから,たとえ,AI(人工知能)がこれから先,どんどん発達して仕事がどんどん変わっていくとしても,この人間関係力を必要とすることは変わらない。

現に,事務作業などはどんどん機械化されて経費削減が進んでいる。

わたしたちは,人と人をつなぐコミュニケーション,人間関係力がうまい人でなければ生き残れなくなってきたのだ。

ここが弱かったり,未熟だと,いくら他の能力が秀でていても,うまくいかないことも多くなると思う。

だから,知能の世界でも,今までは具体的に数値として測れてわかりやすい「学力」,もっと言ってしまえば「知識の記憶力=認知の力」を図ることばかりが持ち上げられてきたけれど,それだけではなくて目に見えない(認知できない)「非認知能力」が注目されるのだ。

非認知能力は,自尊心や自己肯定感は言うまでもなく,相手を思いやること(愛他精神),失敗からリカバリーできること(レジリエンス)などさまざまなものだ。

知能は,もっと雑なわけかたをすると,情報の記憶力=結晶性知能,非認知的な力=流動性知能ともいえるかもしれない。

※結晶性知能=18歳をピークに減少していく,学校で習うような知識

※流動性知能=晩年まで伸びていく,おばあちゃんの知恵袋的な知識

じゃあ,非認知能力はどうやって磨けばいいのか?

こればっかりは,日々の積み重ねで,急にできるものではないけれど,練習で高められる。

もちろん,知識の力というベースがあってこその非認知能力なので,どちらも大事で,どちらか一方だけでは,意味がない。

わたしたちは,一生発達していくというのは,知能も同じだ。わたしたちは,日々,進化して発達してゆくと思うと,人生が楽しくならないだろうか?



論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。