見出し画像

2020年のニューヨークを振り返って

2020年はコロナウイルスの影響で全世界と同じく、ニューヨークの生活も激変した。当初、ニューヨークは感染爆発の先頭を走るような街だった。世界の主要都市と航空便で繋がり、ビジネスと観光で非常に多くの人々が行き交い、マスクをつけると病人として忌避されるため花粉症でも極力マスクをつけず、密な空間を共有していた。…このような環境で感染爆発しないわけなかった。

しかし、市および州政府が即座に動き、エッセンシャルワーカー(医療、スーパーマーケット、配達、警備・アパートのドアマンなど)以外の業務は全てリモート、マスク着用を義務付けたため、街全体のモードが変わった。約3か月後、新規入院者率・空きベッド率など州が定めた7つのとても厳しい基準を全て満たし、徐々に経済が再開された。実際の感覚としては、ロックダウン以降は、マスク着用がニューノーマルとなり、社会的距離の確保を皆が強く意識しているように感じられ(スーパーマーケットでも入場制限があったり)意外と不安はなかった。オフィス再開OKと政府から言われても、多くの企業がリモートワークを継続し、安全最優先・外出自粛というマインドが共有されていたのも理由の一つかもしれない。11月末のサンクスギビング以降、家族が集まる行事(機会)も多く、感染者も増えてきたが、陽性率などの数的基準に従って、学校閉鎖やレストランの屋内飲食が禁止されるなどの措置が取られているため、最低限の安全性は確保されているように感じる。3月以降、散歩以外、店にもレストランにも入らず、ネットショッピングとデリバリー生活を根気強く続けている友人もいる。

画像4

画像5


むしろ今年は人々の絆を含めた社会の層の厚さを感じた1年だった。ロックダウンが始まってから、メトロポリタンオペラは毎日1本、無料で過去の作品をストリーミング配信し続けている。カーネギーホールやジャズクラブなどもコンサート演奏の定期配信をしている。ロックダウンから経済再開までの約3か月間、毎日午後7時になると、エッセンシャルワーカーに対する感謝の気持ち(とストレス発散)を込めて、人々が部屋や路上から鍋や鐘や歓声や拍手などの音を出し、町中に響かせた。医療従事者を称えるストリートアートがそこかしこにあった。

画像1

画像2

画像6

ジョージフロイド氏の事件後は、平和的デモ行進をしたり、公園の一角に様々なプラカードを掲げたり、プチ集会をしたり、人種の違いを超えた(特に若い世代の)連帯が見られた。

画像7

画像6

コロナ禍の影響で経済が停滞し、空き店舗も目立ち、アジア人への憎悪犯罪や銃などの犯罪件数の急激な上昇など、暗い側面も確かにあるが、それ以上にニューヨークは心の通い合った社会だというポジティブな面が心に残った。

2021年がより良い1年となりますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?