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【🇹🇭🇲🇾クウェート#17】グッド・ゲーム


私は怠惰かつ勤勉な人間なので、10月23日に5日の日記を書いている。


10月5日

学生の増加によって、ここ数日の授業は急激に易化傾向にある。
最近では授業参加の意味を見失いつつある。

もっとも、今後はジョージタウン大のアラビア語教科書(通称『アルキターブ』)を使うことになる。
これは阪大アラ科一年の教科書だそうだ。
アルキターブの1巻が終わった後は、2巻に移る。これはアラ科2年生の教科書らしい。

イブラーヒーム教授は、日曜に教科書を買いに行くと言った。政府の補助金のおかげで、わずか3.75KD(1800円くらい)で購入することができる。
これは正規の価格を考えればあり得ないことだ。


昼は、日本の大学の先生・後輩たちとzoomで話をした。
プロジェクト科目で一緒だったメンバーで、今日は打ち上げをしている。日本時間では夜なので通話にちょうど良い時間だ。
久しぶりに顔を見れて嬉しい。


夕方、タイの文学部院生から、サッカーに誘われた。
どうやら今日の夜7時から、寮のあるシュエイフキャンパスでゲームをするらしい。

私とルームメイトは参加することにした。

私は昔バスケをしていたが、サッカーはてんでだめだ。
どうしても足ではなく手を使ってしまう。小学生の頃1試合に8回ハンドをして、昼休みのサッカーから永久追放(のち恩赦により復帰)されたことがある。

ルームメイトは、もともとサッカーをしていたそうだ。張り切って24.8KD、すなわち「1真剣佑」のシューズを購入した。
真剣佑氏については第13回を参照されたい。


もともと51KDだったが、31KDに値下げしてもらいそのうえ「他の店舗だともっと安い」と言った結果、24.8KDになったという。

Al Tilal Complexにて購入。


"HAVE A GOOD GAME."の一文がクールだ。

オレンジの靴を履いて、ルームメイトも準備万端である。

私はQVCの福島氏の大ファンである。

寮から歩くこと10分。サッカー場に到着した。

青々とした芝生は、クウェートではなかなかお目にかかれない。

サッカー場

灼熱の砂漠で芝生を維持する労力・費用は並大抵ではない。
もっとも、地面はデコボコで足への負担が大きい。芝よりもまず、地均しを優先して欲しい。


フィールドは2面ある。試合は基本的に同じ国民同士で行う。

木曜はタイ、エジプトが利用している。加えて、セネガルとガンビアの合同グループも試合を行っている。

このような暗黙の了解ゆえ、大所帯の学生団を派遣している国でないとゲームを組むことが出来ない。タイ南部にはムスリムが多い関係からか、タイ人の学部生や院生が沢山いる。なんとその数40人以上だそうだ。


8人対8人で試合をする。

私のポジションは左後方(サイドバック?ボランチ?)で、ルームメイトは右ウイングだ。

キックオフ。

私はしっかり前線まで上がって攻撃に参加した。もっともボールを蹴るのは苦手なので、ボールを奪ったところで気の利いたパスは出来ない。

果敢に攻めるが、なかなか得点に結びつかない。

味方も守備を放棄して攻撃に参加している。
ドイツ戦終盤の森保ジャパンよりも尚、攻撃的なフォーメーションだ。
というより、無政府状態である。

こちらはノーガード戦法なので、敵チームのロングカウンターで簡単に得点を取られてしまう。

オレンジと黄色の服の人がフォワード

私は攻めを諦めて守備に専念することにした。
相手のフォワードは小柄だが、ドリブルが巧みで決定力もある。かなりの難敵だ。

今夜は気温が高いくせに湿度もある。クウェート秋の夜だ。
私は見る見るうちに衰弱していった。

対してタイ人学生は暑さをものともせず、給水すらろくにしない。
よく見ると裸足でやってる奴もいる。彼らに敵うわけもない。

気づけば、10点は失点していた。私は失意のまま試合を終えた。


試合後は、和気藹々と話をした。先ほどのFWはイスラーム神学を教える教授らしい。
他にも学部の4年生や院生といった、クウェート滞在歴の長い学生ばかりであり、アラビア語の能力も高い。
アラビア語を教えてもらう約束をした。

レシートの文言を思い出し、「グッドゲームだったよ」と言って家路についた。


私は疲れ切ったので帰宅したが、ルームメイトは残ってエジプト人の試合にも参加した。

エジプト人は社会人が利用しているが、とにかく怒りっぽいらしい。

ルームメイトはキーパーとして参加したが、「積極的なフィールドプレイ」なるものを要求されたらしい。

ゴール周辺で待機していたところ、怒鳴られてしまったそうだ。

「お前、試合に参加しろよ!」


帰り道。噴水が美しい。
寮近くの駐車場付近で野良犬が寝ている。怖いので近づかない。


寮に着くと、タイ人学生のフラットに連れていかれた。
美味しい食事でもてなしてくれたが、なぜかどれも塩辛く、口の水分を奪う料理だ。できれば水が飲みたかった。

パスタ的な料理

「五条悟」を自称する学生をはじめ、フレンドリーな面々である。

私とサッカーのゲームをしてくれた。
操作方法は分からなかったが、適当に操作していたら勝ってしまった。少し気まずい。

「グッドゲームだった」と言って部屋に帰った。

ドルトムントvsブライトン


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