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【🇰🇼🇯🇵クウェート#13】クウェートのアニオタ


🇰🇼クウェート政府奨学金にてクウェート大学留学中。

特集記事を後日作る。


9月29日

3連休の2日目。

今日はコンフェストコンの2日目でもある。
コンフェストコンとは、アニメや漫画のオタクが集うイベントのことである。

正直、私はアニメには詳しくない。どちらかと言えば、クウェート人の友人をたくさん作ることが目的だ。

今日はロシアの友人(暗殺者)と一緒に、コンフェスコンと呼ばれるイベントに行った。

ゲーム『アサシンクリード』のコスプレをする友人。タクシー道中では、いわゆる「暗殺教団」について話をした。



会場時刻の2時ちょうどに到着。入場料は10KD、およそ4800円。少し高い。
日本のアニメイベントはどのくらいの入場料なのだろうか?

開場直後の様子。夜7時ごろには人でごった返し、殆ど前に進めない状態になった。

イベントの内容は以下の通り

・新田真剣佑さん、矢尾一樹さん、ジャンカルロ・エスポジートさんによるトークショー

・有志による出店

・コスプレショー


まずは、目玉イベントのトークショーについて。

3人のトークを聞くほか、簡単な質疑応答セッションも設けられていた。

ゲストを迎えるコスプレイヤーたちは、なぜか各自が持ち寄った武器(剣・杖・槍)を掲げて待機していた。ゲストが登場すると、耳を劈かんばかりの歓声が聞こえた。
まるで、武装決起集会か何かに来たかのようだ。

ちなみに、追加で25KDを支払うと、ゲストとツーショットが撮れる。
私はミーハーなので撮ってもらった。

オーラがすごかった。

出店も印象的だった。
マニアが自作の商品を売っているお店、正規の商品を売り込む企業、日本で買ったグッズを売るお店などがある。

自作の漫画グッズのお店。一つ当たり1000円くらい。

一つ一つ端正込めて作ったグッズから、彼女ら彼らの熱意が伝わってくる。

3Dプリンタで自作したグッズ。中に電灯が仕込まれているなど、芸が細かい。一つあたり数万円の世界だが、ほとんど売り切れていた。
自作のストラップ。日本から来たことを伝えると、一つただでくれた。お返しに鬼滅の刃のシールをあげた。
フィギュアを塗装する人。


一つ印象的だったのが、写真を撮ってネットにあげていいか聞いたところ、全ての人が「喜んで!」と答えてくれたところだ。

出店とは言え、ただ物を売ることがだけ目的なわけではない。自分のコレクションを他の人に見せて、喜びを共有すること。そういう気持ちを持って参加している人が多いように感じる。


コスプレを披露するのも、このイベントの趣旨の一つだ。
剣や帽子といったアイテムを身につけた簡易的なコスプレから、全身自作衣装を身に纏ったコスプレまで、数百人のコスプレイヤーがいた。

ドン・キホーテ・ドフラミンゴ。私もドフラミンゴが好きだと言ったら、隣にいた別の人から「それは奇妙だよ」と言われた。なんでや。

私は浴衣で参加した。
目論見通り、私をコスプレイヤーと誤認して、あるいは着物への純粋な興味から、話しかけてくれる人が多かった。
浴衣の知名度は高く、素敵な浴衣ね、と声をかけてもらえることがしばしばあった。

特に記念撮影を求められることも多く、何百枚もの写真を撮ることになった。ちょっとした有名人である。かなりいい気分だ。
だんだん慣れてきて、撮影時にちょっとしたパフォーマンスをするまでになった。

コスプレイヤーはこういう気持ちをいつも味わっているのだろうか?
コスプレに熱中する気持ちが少し分かった気がする。

SNSでは、ちょっとした指名手配書のようなものが流された。ここまでくると少し怖い。

どんなジャンルにせよ、しばしばオタクは超常的な知識量を見せる。そして、その知識を自明のものと誤解しがちだ。

会場を散策していると、私を凝視する赤目の青年がいた。

私は恐怖し、彼に説明を求めたが、訛りが強く上手く聞き取れない。
あわてて周りの人に助けを求める。

「簡単じゃないか!彼は写輪眼の使い手で、君の忍術をコピーしようとしているんだよ。」

いや、知らんがな。


アラビア語を使うためにイベントに言ったのだが、殆ど使うことは無かった。

むしろ日本語を勉強中の人と数多く知りあい、日本語で話す、あるいは英語で日本語を教えるという場面が多かった。

特に多かったのは、敬称についての質問だ。

「くん、さん、ちゃんの違いを教えてください!」

この手の質問には慣れっこだ。

ただ、たまに意表をつく質問を投げかけてくる人もいる。

「兄貴、お兄ちゃん、お兄様の違いを教えて!」

いや、知らんがな。


侍のコスプレをした青年に出会った。
かなり日本語に堪能で、日本の歴史にも相当詳しい。あくまで侍ではなく「浪人」だと自称していた。

浪人を含む5人組が仲間に加わり、会場を歩き回ることになった。

浪人。帰りは寮まで送ってくれた。
鬼滅の刃コスプレをしている女性が多かった。人気に加え、皮膚の露出が少なく宗教的にも抵抗感がないことが要因ではないだろうか?


イベントは22時ごろに終わった。

実は今日は、中秋の名月だ。
クウェートの空は少しくすんでいて明瞭には見えない。それでも私に日本の文化を思い起こさせるには十分な美しさだった。

日本文化における「月」について、暗殺者と浪人に教えてあげた。
月に関する和歌や、十五夜についてなどなど。

すると彼らは語った。

「いや月といえば、『十二鬼月』でしょ!」

いや、知らんがな。

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