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経管栄養(4) 実施上の留意点


経管栄養について疾患によっては脱水・電解質異常・血糖値異常などが起こる時がある

電解質異常などを起こすと、発熱・心不全・呼吸不全、意識障害、痙攣などの重篤な症状が生じるリスクがある


誤嚥性肺炎


経管栄養を行う上で最も重篤な合併症で、原因としては

・嚥下機能障害で口腔内の汚染物質が気道へ流れて起こるケース

・胃の内容物が逆流し、気道に入ってしまい引き起こされるケース

・食道裂孔ヘルニアやサイズが大きすぎる経管栄養チューブを使用している時に逆流を起こして発生するケース


特に注意が必要なのは、経鼻経管栄養の場合、鼻からのチューブで胃ではなく、気道に留置されていることに気づかず、栄養剤を注入してしまうことであり、経鼻経管栄養のチューブの留意措置は必ず医師や看護職が行う

栄養剤の注入時は上半身を30~45度起こして、逆流を防止することも重要


下痢


最も多い合併症の一つで、経管栄養によるものなのかを鑑別する必要がある

経管栄養による原因として多いのは注入速度、栄養剤の濃度、不潔な操作など


リフィーティング症候群


飢餓状態での栄養投与が致命的な全身合併症を引き起こす病態の総称

絶食気管が長く、栄養状態の悪い利用者に高カロリーな栄養をいきなり投与すると糖代謝や電解質バランスの異常を招き、重篤な低血糖や不整脈が生じ、心停止に陥ることもある


経管栄養チューブによるスキントラブル


起こりうるスキントラブルとしては

・機械的なもの(経管栄養チューブの固定の不備などで栄養チューブが当たっている部分にびらんや潰瘍が生じる)

・化学的なもの(消化液や栄養剤の漏出など)

・感染

・不良肉芽


予防としては経管栄養チューブの選択が大切で、サイズや材質を考慮する必要がある

サイズが合わない大きすぎるチューブでは、経鼻経管栄養の場合、鼻腔周囲の皮膚の炎症だけでなく、副鼻腔炎や咽頭、噴門部の潰瘍、消化管の穿孔のリスクがある

胃ろう及び腸ろうの場合は、ろう孔の大きさにあったチューブを使用し、消化液の漏出を防止する(消化液の漏出によるひらんや感染予防のため)


チューブの挿入部について

・周囲が赤い

・滲出液が出る

・痛みがある

・出血

・悪臭

これらの場合は医師や看護職へ連絡する

その他

腹痛、嘔気・嘔吐、腹部膨満感などを引き起こすことがあり、これらの消化器症状は消化管の運動が低下したり、便秘をしたりすることで起こる

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