喀痰吸引(3) 痰の状態
痰を排出する仕組み
呼吸器官の内部表面は分泌物によって常に湿った状態になっている
この分泌物は呼吸器官を湿らせ、吸い込んだ空気中に含まれる塵や微生物・異物を捉えて、気管や肺の奥深くに入らないようにする働きがある
それに対して気管の内部の表面では、この分泌物が気管の奥深くに入っていかないように喉の方に押し上げるような動きをしている
気管から喉の奥まで押し上げられた分泌物は、通常無意識の内に食堂の方に飲み込んでおり、塵や異物を捕らえた余剰な分泌物を痰と呼ぶ
喉や気管に絡まった痰は通常、咳や咳払いをして排出する
痰の異常
色
白色の濁りが強い 何らかの感染がある
黄色っぽい
緑色っぽい
うっすら赤い 口や鼻、喉、気管などに傷がある
赤い点々が混ざる
鮮やかな赤色が混ざる 口や鼻、喉、気管などから出血
黒ずんだ赤色が混ざる 口や鼻、喉、気管などが以前出血
粘性
さらさらしている 透明色で量が増える場合は急性の気道の炎症
鮮やかな赤色の場合は緊急対処を伴う出血
粘り気がある 体内の水分が不足して乾燥している
色の変化(黄色・緑)を伴う場合は何らかの感染
臭い
腐敗臭 何らかの感染
甘酸っぱい臭い 何らかの感染
痰の貯留
痰が溜まっている状態とは痰の量が増えたり、粘性が増したりして分泌物を食道の方に飲み込めずに口や鼻、喉、気管が停滞している状態
痰が貯留することで口や喉でゴロゴロと聞こえたり、鼻の奥の方でズルズルという音が聞こえたり、もっと奥の方でゼロゼロという音がすることがある
痰の貯留により人間の体は痰を異物と判断して、反射的に体外へ排出しようと咳をする、痰が絡むような音を伴いながら咳を繰り返している状態は、気管の方で咳が貯留している可能性がある
痰の貯留によって気道閉塞が起こると、呼吸の苦しさや呼吸の仕方の変化、顔色が青紫色っぽく変化することが起こることもあり、最悪窒息の恐れもある
また低酸素状態や喉頭蓋が上手く働かなくなることで誤嚥のリスクもある
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