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介護福祉士と医行為について


法律的な理解


医行為とは

・医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生じるおそれのある行為

・医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を
 及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為

今日の医学・医療の発達は医師1人で適切な医療を提供することが困難なため、法体系として医師による「医業」の独占を原則的に認めつつ医師以外の医療スタッフによる一定の範囲内の「医行為」を認めている

介護職においては喀痰吸引と経管栄養がこれにあたる

医療の倫理


医療は人の生命と健康に関わる行為であり、医療を担う医療職は免許を持っているだけでなく利用者が自身の生命や健康をかけて信頼していることに対して謙虚に答えることが求められている

倫理上の原則

①医療の担い手は、医療を受ける者の不安や苦痛に共感すると共に、その
 責任を自覚し、自己の人格を高めるように心がける

②医療に関する知識および技術の習得に努める

③医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とする

④医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、医療を受ける者の
 心身の状況に応じて行う

⑤医療の担い手は、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう
 に努める

⑥医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受
 ける者の理解を得るように努める

⑦医療の担い手は、業務上知り得た秘密を守る

⑧医療の担い手は、ほかの医療関係者等との連携協力に努める

⑨医療の担い手は、医療を通じて国民の健康な生活の確保に努める

自己決定の権利


自立した生活のためには自己決定が必要で、その権利は憲法が保証する幸福追求に対する権利に含まれていると考えられている

しかし自己決定には決定の意味や効果を理解できるだけの判断力が求められる

自分で適切に判断できない子供の場合は親権を行うものが、認知症などの精神上の障害がある場合には成年後見人などが判断するべき場合がある

個人情報の保護


個人情報保護法において目的外の利用や第三者への提供については原則として本人の同意が必要

例外として

①法令に基づく場合

②人の生命、身体または財産の保護に必要がある場合にあって、本人の同意
 を得ることが困難な時

利用者やその家族に対する説明と同意


自己決定の前提には決定に必要な情報がわかりやすく提供され、自由に決定できる環境が必要

この自己決定を保証するために医行為を行う場合、治療等を受ける本人がその説明を理解した上で同意する(インフォームド・コンセント)が必要

個人の尊厳と自立


日本国憲法では「すべて国民は、個人として尊重される」とされ「個人の尊厳」を確認している

「個人の尊厳」を守るため

第13条 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利

第25条 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)

これらを保障している


医療法においては「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持」を旨としている

介護保険法では「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むこと」とされている

障害者総合支援法では「基本的人権を享有する個人として尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことが営むこと」が述べられている

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