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相続: 「遺留分侵害額請求」

今回は「遺留分侵害額請求」について見て行きましょう。

一言では: 遺留分の請求です。

「遺留分侵害額請求」: 遺留分を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している受遺者や受贈者に対してその侵害額を請求することを指します。

遺留分とは、法定相続人が最低限相続できることが保障されている相続分のことを指します。遺留分を有するのは、兄弟姉妹以外の法定相続人とされています。

遺留分侵害額請求権は、遺留分を侵害された法定相続人が、受遺者(特定財産承継遺言により財産を継承し、または相続分の指定を受けた相続人を含む)または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利です。

遺留分侵害額は以下の計算式により算定されます:↓

  • 遺留分=遺留分を算定するための財産の価額×総体的遺留分率×遺留分権利者の法定相続分

  • 遺留分侵害額=遺留分額-遺留分権利者が受けた遺贈または特別受益の額―具体的相続分(寄与分を除く)に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額+相続債務のうち遺留分権利者が負担する債務の額

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは消滅し、行使できなくなってしまいます。また、相続開始のときから10年間が経過した場合には除斥期間により消滅します。

遺留分侵害額請求の具体例を2つご紹介します。

例1:
被相続人が子ども2人(子A、子B)を持つとします。被相続人が遺言により、全ての遺産(3000万円)を子Aに相続させると決めたとします。この場合、子Bの遺留分(750万円)が全額侵害されています。子Bは、子Aに対して遺留分侵害額請求を行い、750万円の支払いを求めることができます²。

例2:
被相続人が配偶者と子ども2人(子A、子B)を持つとします。被相続人が遺言により、全ての遺産(3600万円)を配偶者に相続させると決めたとします。この場合、子Aと子Bの遺留分(各900万円)が全額侵害されています。子Aと子Bは、配偶者に対して遺留分侵害額請求を行い、各900万円の支払いを求めることができます。

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