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行橋から別府へ、100キロの物語


ある日突然、取引先からの招待が私のもとに舞い込んできた。
それは、行橋から別府までという、想像を絶する距離の100キロウォークへの参加だった。
私にとって、毎日のマラソンは心の安らぎであり、そのリズムに身を任せることは日常の一部だった。
だが、歩くというシンプルな動作が、こんなにも新しい冒険をもたらすなんて。

開始前の夜、部屋の隅に静かに置かれたリュックを眺めて、中身を一つ一つ確認した。
食事となるカロリーメイト、突然の雨を防ぐ雨合羽、長い距離の中での安心のための替えの靴下、そして冷え込む夜を想像して用意した防寒具。
すべてを入れてみても、不安は拭えなかった。
しかし、新しい経験へのワクワク感と、それに対する期待感で心は躍っていた。

当日の朝、私の足元はすでに軽い痛みを伴っていた。
でも、会場に足を運ぶと、そんな小さな痛みは忘れるほどの光景が広がっていた。
幼い子供からお年寄りまで、様々な人々が楽しんでいる姿。
夢中になって歩く友人同士、語り合いながら歩く親子、恋人たちの甘い会話。
それぞれがこの大会を独自の方法で楽しんでいる。

そして私も、その大海原の中で一人、自分のペースで歩き始めた。
人間の平均歩行速度、4km/hを目安にして、安定して進もうと思った。
しかし、20kmを過ぎたころ、私の足は徐々に重くなり、心もその重さに押し潰されそうだった。
だけど、その中での出会いが私の心を救った。
見知らぬおじいさんの言葉。
彼のこれまでの経験と励ましは、私にとってかけがえのない宝物となった。

36km地点、私の旅は一旦終止符を打った。
あと少しの力を振り絞り、もっと進もうという気持ちもあったが、その日の私にはそれ以上の力はなかった。
だけど、この経験全てが私の中で一つの大きな宝物となった。
歩きながらの自分との対話、出会った人々の笑顔と言葉、そして新しい挑戦への誓い。

次回の挑戦を夢見て、私は日々を送る。
この100キロの道を、再び歩み、その終点まで辿り着くこと。
それが今の私の目指す場所だ。



<記事を書いた不動産会社>
合同会社カレン
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