猫の痛み検知AI「CatsMe!」が生まれるまでの話①
こんにちは、猫の痛み検知AI「CatsMe!」を開発・運用している株式会社Carelogyです。
今回は、非常によく聞かれる、「猫の痛み検知AIってどういうきっかけ・背景で生まれたのですか?」についてお話します。
CatsMe!開発開始のきっかけ
CatsMe!開発開始のきっかけとなったイベントは、2022年5月に開催されたAI・人工知能EXPOです。
当社は、もともと人間向けのヘルスケア分野を中心にAIを使ったサービスでの課題解決を目指していました。
展示会でも、胸部X線の画像解析技術の展示等を行っていました。
その展示会にて、日本大学生物資源科学部獣医学科の枝村一弥教授と出会いました。より正確にいうと、弊社のブースに足を運んでいただき、さまざまなお話をしていただきました。
その際、枝村先生は弊社の画像解析・AI解析の技術を用いることで、猫の表情分析AIが出来上がるのではないか?というアイデアをお話・ご相談いただきました。
まさに現在運営中のCatsMe!の大元となるアイデアが生まれた瞬間です!
CatsMe!開発スタートまでの葛藤
本当に開発できるのか?
まず、「本当に開発でき、ある程度の精度が出せるのか?」という心配がありました。本格的に開発をしていくには、大量の画像を収集・振り分けし、AIに学習させていく過程が必要となる見通しがありました。そのためには、枝村先生はじめ、日本大学の獣医学科の方々のご協力もいただくことになるため、本格的な開発開始の決定の前に「いけそうだ」という確信をなるべく得られるよう、初期的な確認を行いました。
少ない猫の顔画像を身近な家族の猫の写真や権利フリーのインターネットの画像等で初期的に検証し、ある程度、枚数さえ増やせば精度は充分高められるという確信を持てたことで、今回、本格的に開発をする踏ん切りがつきました。
開発できたところで使ってもらえるのか?
開発面で可能そうだという見通しが立っても、誰も使わないサービスを開発しては意味がありません。そこで当社なりに市場分析をマクロ・ミクロの観点で行いました。
▼マクロの観点
国内の猫の飼育頭数は犬を上回り800万~900万頭近くいる
猫の飼育頭数や飼い主の支出金額は上昇傾向である
動物病院来院の回数データでみると、犬と比べ、猫の来院回数はかなり少なく、年に1度も通わない猫がかなり多い
世界で見ると飼育頭数は4億頭とも6億頭ともいわれている
▼ミクロの観点
シンプルに「猫の痛み検知AI」は面白い
実際に身近な人たちに話しても「面白い」という返答が返ってくる確率が相当高かった
猫の感情・気持ちを推測したい・もっと知りたいと思うのは全飼い主の心情
競合となりそうなサービスは現状なさそう
世界では同様のアプローチを試みる事例はありそうだが、精度面(AIに学習させる枚数)の点で足らないためか、あまり精度が高くなかった
つまり、この製品、しっかりした精度で作れさえすれば、飼育頭数が増える猫の飼い主の方が持つ、もっと愛猫を知りたいというニーズに刺さり、結果的に来院回数が少ないという業界課題の解決にも貢献できるのではないか?と考えました。
まとめ
今回は、CatsMe!のAIを本格的に開発していこうという決断をするまでの過程についてをまとめました。
展示会にて日本大学の枝村教授からご相談いただいたアイデアが元だった
開発が可能そうかの初期検証でポジティブな見通しが立った
市場環境的に追い風&刺さりそうな予測があり、開発が可能そうであれば進めるべきという結論になった
次回は、本格的な開発過程についてをご紹介します。