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最期のおもてなし

母が亡くなった後、
遺骨を1年間手元供養していた。

このたび1周忌に合わせて、
東京にある樹木葬に納骨のため、
空路広島から東京へ向かうことにした。

飛行機はANA全日本空輸を利用した。

骨壺は機内に持ち込めるのか
ふと気になり調べたら
持ち込めるとのこと。

遺骨とわかると
不快に思う乗客もいると思い
骨壺を風呂敷で包み
わからないようにファスナーつきの
ショッピングバッグに入れて運ぶことに。

空港の受付カウンターで
念のため骨壺を持ち込むことを
告げると
「客室乗務員に伝えておきます。
足元に置いていただくかもしれませんが。」
と言われた。

飛行機に乗ると客室乗務員の方が
「お隣に置いていただいて大丈夫ですよ!
 シートベルトをおかけください。」
と言ってくれたので
母の遺骨の入ったバッグを
私の隣の座席に置き
シートベルトをかけた。

飲み物サービスの時に
「お連れ様のはいかがなさいますか?」
と尋ねて下さった。
私は全く理解できないまま
「結構です。」と答えると
そのまま立ち去って行かれた。

ホテルにチェックインして
ふと航空機内でのやり取りを
思い返し、ようやく気がついた。

母を遺骨ではなく
ひとりの搭乗客として
扱って下さっていたのだ。と

それが理解できたとき
思わず涙あふれた。

「お母さん最期に良い旅行ができたね!
 いやいやこれからも一緒に旅行に行こう!」

旅行が大好きで
88歳まで旅を続けた母。

コロナが収束したら
母のパスポートを持って
またANAで一緒に旅行しようと思う。

客室乗務員にも航空会社の方にも
何一つお礼を申し上げていないので
この場をお借りしたい。

最期に素敵なおもてなしをどうもありがとう!

この記事がANA職員の一人にでも
届くことを願って!



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