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Ⅹ)キャリア理論をキャリコンの現場でどう使う?~その1~

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
キャリアコンサルタントをめざす方や資格を取得したばかりの方の参考になればと、自分の経験や考えたことなどを綴っています。
(こちらのマガジンでまとめて読めます↓)

さて、今回はキャリコンが学んだ『キャリア理論』について、現場での活かし方を考えます。

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キャリア理論と私

養成講座に通っていた頃、40歳を超えての試験勉強はなかなか記憶力がついていかずかなり苦しんでいました。特にキャリア理論はテキストを読むだけでは頭に入らないので、自分でまとめノートを作り通勤電車の中やお昼休みに何度も読み返して覚えました。カタカナばっかりだし、同じような中身が多くて非常に苦戦しました。

最近の養成講座では、以前私が学んだ時よりも扱う理論が増えているようです。今、私なんかより新しい知識を持った優秀なキャリアコンサルタントがどんどん誕生しています。「私の頭がいつまでも刷新されていないのはまずい!」と危機感を覚えたので、近頃改めてキャリア理論を基礎から学び直しています(少しずつですが・・・)。

本棚にたくさんあるキャリア関連書籍のストック。今読み返しているのはこちらの本です。

私が持っているのは上記ですが、3年前に第2版が発売されています。

キャリアコンサルティングの現場に立ってから読み直すと、キャリア理論はやっぱり説得力があるなと感じます。

新能力要件は押さえておかないと!と思って最近読みました。

試験のための勉強から実践のための学びへ、ずっと繰り返し継続して学ぶことが大事ですね。私たちが学んだキャリア理論は、キャリアコンサルタントの仕事でどう活かせるのか、事例を含めてご紹介したいと思います。

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変化が激しい時代だから「プランドハプンスタンス」

多くのキャリコンが『好き!』と言う理論が「プランドハプンスタンスセオリー(計画的偶発性理論)」です(現在は「ハプンスタンスラーニングセオリー」)。初めて理論名を聞いたときは「なんのこっちゃ?」って思ったのですが、人生も長くなり、その間いろいろあったりした私にはすごく腹落ちする理論です。偶然の出来事や出会いから今があると実感できるので、この理論を特に身近に感じているのだと思います。

【理論の活用例】
・就職支援 自己分析
 自分が過去にどんな出来事があって今に至っているのかを考えてもらうと、家族や学校の先生の言葉等がきっかけで進路の選択をした事例などがあがります。自分が気づかないうちに周囲から影響を受けていることを知ったり、思いのままに生きることだけが正解じゃないと気づいてもらうことがあります。

・企業研修 キャリア形成・昇任時等
不確実性の高い現代、変化が激しい時代に、環境変化をとらえ、それに対応するためにどんな能力が必要かを考えてもらう時に伝えています。自分がこの先どんな能力を開発したらいいかを考えるヒントとして紹介しています。

5つのスキルを伝える時の例
好奇心:「興味関心のあることはアンテナが立つので情報が入りやすくなります。情報が入ると行動につながりやすくなります。行動することで自分が描いたことの実現可能性が高まります。好奇心がそのスタートなんですよ」
持続性:「その上で、少しコツコツやってみるとどこかで誰かが見ていますよ。例えば・・・(私の事例など)」
柔軟性:「変化の激しい時代に対応するためには、自分が変化することも多くなります。対応力や柔軟性はどんな行動で表現できるでしょう?」
楽観性:「考えすぎてしまうとなかなか一歩が踏み出せないですが、少し先を明るく見ることで一歩を踏み出す勇気が持てるようになります」
冒険心:「結果がどうなるかわからなくても、やってみることで何らかの変化を起こすことができるかもしれませんね」

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人生100年時代に考える「ライフキャリアレインボー」

ドナルド・E・スーパーの虹の絵をはじめて見た時は、「人生をこんなにカラフルに例えるっていいなぁ~」と感動しました。(アーチの方は今一つ理解が難しかったのですが・・・)

私たちは人生を『今ここ』で起こっていることで判断することが多いのですが、生まれてから一生を終えるまでいろんな役割を持って生きていることを客観的に理解できる図です。虹の半円を人生に見立て、いろんな色(役割)で彩られていく。その色(役割)の組合せがキャリアなんですよね。人生(ライフ)の役割(ロール)を考えることから、人生全体を捉えてもらえる理論です。

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【理論の活用例】
・キャリアカウンセリング
時間がない、余裕がないと悩んでいる方は、人生の役割(ライフロール)をたくさん持っていることが考えられます。今の自分の役割をあげてもらい、優先順位をつけたり配分を工夫することはできないか、を考えるきっかけにしてもらう等、自分を分析する参考になります。

・企業研修 キャリアデザイン
今の自分がどんな役割を持っているのか?少し先の自分がどんな役割を担うのかを考えてもらいます。

人生の役割を考える
20代~30代では「働く人」のウエイトが増している時です。その上で「配偶者・パートナー」「親」等の役割を選択する人もいるでしょう。
40代ぐらいには介護を担う「子ども」としての役割が増える可能性もあります。
年代問わず、何かを勉強したい(「学ぶ人」の役割を増やしたい)、地域活動に力をいれたい(「市民」の役割を増やしたい)等の希望にも焦点をあてていくと、限られた時間をどう使っていくのかを考えないといけません。
キャリアデザインをする時は、こうした役割の数や種類、その優先順位や配分なども視野にいれるとリアリティが出てきます。

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一般の方にキャリア理論をそのまま紹介しても、頭の中が「?」でいっぱいになってしまいます。実際キャリア理論の紹介が多かった研修のアンケートで、「カタカナが多くて頭に入らなかった」と感想をいただいたことがあります。そのフレーズ、私が勉強した時にそのまま言っていたことです。

私たちはキャリア理論を覚えてもらいたいのではなく、その考え方を知ってご自分のキャリアを描く参考にしてもらえることが大事なんだと思っています。。理論を理解するための具体的な事例を使って、より身近に感じてもらえる工夫をしています。


まだまだたくさんあるキャリア理論。自分の勉強のためにも少しずつ実践での活用例を更新していきますね。気長にお待ちいただけるとうれしいです!


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