見出し画像

【キャリア】学生の学ぶチャンスを食い潰す者

3月に解禁した就職活動は約5か月経過し、世の中の採用担当はひと段落ついているか絶賛募集中の企業に分かれているだろう。

またこの時期は夏の陣:2021卒採用向けのインターンシップの開催で多忙な時期でもあると思う。

本当にこの何年かで新卒採用は年度年度の切れ目がなくなってしまった。

切れ目が無い理由で考えられるのは、
大学4年生の3月に就活解禁であり、その3か月後の6月には、3年生のインターンシップ受け入れが始まってしまうからである。このインターンシップを多くの場合は人事、特に採用担当が請け負う場合が多いようだ。
僕自身も同じように採用活動をしていたので、今ではその多忙さは同情の一言だ。

採用活動の多忙さに触れる話ではないが、次期就活性である大学3年生(あるいは短大・専門1年生)はこの時期に、自分の将来の仕事についてや就活どうするんだっけ?と気にし始めるだろう。

そこで今回は『インターンシップのすすめ』を書く。

主に採用担当者(特に最近就活を始めたばかりの人)の方に参考にしていただければ幸いです。また学生には、企業側の努力の結晶のインターンシップがどのようにできているのかを認識してほしい。

※僕の採用経験については過去のnoteを参照してください。

どうなってるのインターンシップ?

年々インターンシップの参加学生は増えている。また同時に企業側の受け皿も広がっている。
ただし、現状のところ企業側の多くが、学生を集めきれずに日程だけ抑えて無駄になることもしばしばあるよう。

そもそも日本でのインターンシップの主な目的は、学生が就業体験を通して職業観の形成、就労意欲の向上、職業選択における選択肢、社会的な自立を促すなどが考えられる。
学生は一時的に企業に属し、そこでの仕事が体験できる。

また企業側はこれに対して、産学官人材育成の観点から大学と学生に協力するような立場として、さらに採用活動とは一線を画し受け入れを行う必要がある。
というような、なんとも企業の涙ぐましい努力により日本のインターンシップは支えられている。

ただ、ほとんどの場合、採用活動から切り離されたものではなく、インターン参加が、その後の説明会への「切符」であったり、優秀人材の囲い込みになっている。そのために過度な広告合戦や、過度な学生に対するおもてなしが発生している状態だ。

インターンシップは採用活動ではないという趣旨はあるものの、僕の本心は、インターンシップは採用活動の一環であるべきだと思う。

受け入れ側はボランティアではない。特に強く言いたいことは「教え」は無料ではない。企業が長年培ってきた、独自の『知』を学校側も学生もインターンシップを盾にして無料で受け取ろうとしてはいけない。

むしろ学校側は学生をインターンシップに送り込むことも仕事だろうから、そういう意味では給与が発生している。
企業側がインターン受け入れによる最大のメリットは将来の採用活動に繋がることだ。

そんなこんなで様々な矛盾を抱えながらも今のインターンシップについてみていきたい。

インターンシップにでかけよう

僕は学生にインターンシップ参加をお勧めするし、企業側も開催をお勧めしたい。

それは通常の就活期間では味わえない出会いと発見があるからだ。

学生メリット
会社説明会は机上の空論。であり理想論だけをぶちまけている可能性が高い。
一方で、インターンは普段は入れない職場であったり、実際の働く人の生の声を聴き、何よりも仕事に触れることができる数少ない機会だと思う。

まあこの辺りは誰にでもわかることでありキャリアセンターもそのように学生さんに伝えているだろう。
個人的には学生時代にあまり参加したことがないので今学生の方が羨ましい限りだ。

企業メリット
就活よりも早期から始まる分、意欲的な学生が集まりことはもちろん、自社の認知を高める方策になる。

まあそんなことは周知のとおり。

採用側、就活側双方にメリットがある。

学生をダメにするインターンシップ

とはいえ、どんなインターンシップでもためになるわけではないのも事実。

中には学生をダメにしてしまう!とまで言い切らないが、参加期間中終始つまらないまま、「とりあえず参加型」のインターンが存在している。そのように企業側は認識しておかなければならない。

例えば

①企業エゴ!熱い思いを伝えたいインターン
②アルバイト同等or以下インターン
③全部署たらい回しインターン
④過剰接待インターン

などを挙げる。

①企業エゴ!熱い思いを伝えたいインターン
これは言うまでもなく、会社説明会を中心としてしまったインターン。

いやこれはもはやインターンではない。インターンシップという名で早期から積極的に動いている学生を食って掛かろうとする悪い担当者のすることだ。

大切なことは、学生はこの時点では参加した企業に100%興味があるわけではなく、「インターンシップ」あるいは「そこでの仕事や業界」に興味があるに過ぎない。
そのため、企業は自分たちに興味を持ってもらうために、その仕事の魅力を全力で伝える必要がある。

②アルバイト同等or以下インターン
これは特に小売業や飲食店など、学生が通常アルバイトで選びやすい業態でよくみかけるインターンシップだ。

何かというと、例えばスーパーであれば、接客体験と称したレジ打ち、品出し、売り場の案内、清掃などをインターンの仕事として与えるにとどまっていること。

誤解がないように伝えておくが、上記の仕事を与えることがダメなわけではない。小売業にとってはどれも重要な現場業務だからだ。
ただし、これらをやらせるだけなら、アルバイトとして学生は経験済みである。ましてやお金をもらってやっている。
大切なことは、「正社員として雇う」のであれば、その仕事を部分的にやらせるべきだ。学生も馬鹿じゃない。
なのでこの場合は「どうやったら買ってもらえるか!?」「どうやったら売上が上がるのか?」を全力で考えさせ、実行させたい。

③全部署たらい回しインターン
僕はこれが一番嫌いです。なぜなら学生の働く意欲を刺激しないから。

これは会社の中でどのような部署があり、どんな仕事があるのかを網羅させるという内容。

例えば1週間あれば、1日目が総務部で雑用。2日目は経理部で。3日目は営業事務で。。。。みたいな流れでとにかく善意的な言い回しで「インターンのみなさんには当社の全てをお見せします」という謳い文句で大義名分のように見せかける。

しかし実際には学生にやらせることがないにも関わらず、採用活動の一環として学生との接点づくりの手段としてこのようなインターンもどきをしているようだ。

厳しく言うようだが、これでは学生はインターンシップというイベントに参加しただけで、「働きたい」という意欲は高められない。

大切なことは、仕事をひとつやりきらせること。
ひとつのことから、深く掘り下げ、広く関連性を見せることが必要。

④過剰接待インターン
例えば、焼き肉食べに行く。飲み放題。豪華なお土産。USJに連れていく。など

これは学生が喜びますが、よく考えなければならない。基本的には単なる甘やかしでありアイディアでもなんでもない。これらはあくまで集客策の一つ。
集客策がインターンの内容になってはいけない。

その仕事の本質

何度も言うが、大切なことは仕事に触れさせることで、また正社員として雇う、将来任せることを実体験や疑似体験することが必要。

営業職として採用するなら、営業としての仕事、特に商談部分を。

製造の仕事であれば実際の工程の一部分をまかせるなどだ。

前述したように、たらい回しでは仕事に対する本質的な魅力がわからず、意欲が高まらない。

であればどうすればいいのか?

一つの仕事を任せたらよい。営業ならアポイントどりから商談完了まで同行。
店舗販売なら上記②の一連の作業に加え、売り上げ管理などその日の業務の成果を教え、その成果から仕事の意味を理解させる。
製造であれば1から10まで作らせ、あるいは部分的に作らせることに関わらせなければならない。

自社の仕事とは何なのか、どう伝えるのか考える

もちろん安全上や個人情報、企業秘密の観点からできないことがたくさんあることは仕方がない。

がしかし、だからといって、適当なことをさせればいいというわけではない。
自社の仕事の本質をとらえなおし、どのように伝えればいいのか考えることが担当者の仕事だ。

学生は働いたことはないが想像すればよく分かる。

「営業の仕事はお客様からありがとう感謝されることが仕事の醍醐味です」などアホなことを聞かせているようでは、学生のハートはつかめない。学生にだってそんなことくらいわかる。

それをどうやったら体感させられるのかを考え、形にしていくことが学生に提供するべきインターンシップだ。

もちろん採用活動を社会貢献の一環で。だけであれば面倒なことを考える必要はない。

ただ、多くの企業の場合は採用を何らかの形で睨んでいるのであれば、人を集めるためにも、自社の仕事に興味をもってもらうためにも、採用してからミスマッチが起こらないためにも、学生を自社の仕事の虜にできるインターンシップを創造すべきだ。

参考:評価を受けたインターンシップ

https://internship-award.jp/https://internship-award.jp/

今はインターンシップに対する表彰制度もあるようで、良い事例が参考にできる。

まとめ

インターンシップは過熱化しているが、学生は参加するからには仕事の本質に触れ、働くことの意義を感じてほしい。

また企業側も働くことの本質を伝えることで学生から嫌われてしまうのではと感じることを恐れずに、大変さも地味なことも体験させてあげるべき。

そして最後になるが、最も意識しなければならないのは、インターンシップはやって終わりではだめ。きちんとしたフィードバックを必ず実施しなければならない。

以前のnoteにも書いたが、やっただけでは「体験」。何か身につけば「経験」。体験を振り返ることで、何が見についたか自己理解できれば経験へと昇華する。

そのためには、仕事を一番理解している人からのフィードバックが必ず必要。

なぜこの作業をしたのか、それ顧客や会社、あるいは従業員たちに何をもたらすのか。そしてもっと良くなるためにはどうするべきなのか指摘する。

最後にこの会社だけで使える考えではなく広く社会でも使えるように、今回の学びを一般化する。そこではじめて学生も今回のインターンシップの学びの大きさに気が付く。

どこでも言われることだが、学生は参加するインターンシップをよく選ぶ必要がある。1Dayだから参加するでは安易すぎる。とりあえずではなく、その後のキャリアに繋がる経験を積んでほしい。
企業は学生に経験するチャンスを与えてあげてほしい。いち教育者として。

それにしてもインターンシップは大変だ。

実施する側も参加する側も。

実際に役にたったと実感できるのは数年後かもしれないから。


またインターンシップは書きます。

NORIYUKI.

学生など若者に低価格で就職支援を行っております。サポートをいただいた際には、その活動の原資にあてたいと思います。 皆様のご支援が社会で活躍する若者の後押しにも繋がりますので、ぜひご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。