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【数字とデータで見るキャリコン 】第15回試験結果の概要&傾向と分析(1)

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 今回のコラムでは本日(12/15)に公開された第15回キャリアコンサルタント試験の結果を過去の傾向を交えてお伝えします。

1.第15回キャリアコンサルタント試験結果の概要

 まずは以下の図表はいずれも2つの試験機関(キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会)の実施結果の合計です。

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【出所】厚生労働省「第15回キャリアコンサルタント試験結果の概要」(2020.12.15アクセス)

次に主な項目の説明をします。
(1)受験者数:申し込んだ人の中で実際に受験した人数です。これが合格率の「分子」になります。
(2)合格者数:受験した人の中で合格した人数です。これが合格率の「分母」になります。
(3)※実受験者数:この項目だけ注記がないので推測になりますが、「学科のみ・実技のみ」の科目単体の受験者がいるため、結果的に「申込者数」を超える人数になったと思われます。巷で「第15回の受験者数が約7,000人」といわれる時はおそらくこの数字です。
(4)学科、実技試験同時合格者:初受験に限らず、複数受験でも同時合格した人数が含まれているはずです。つまり初受験で同時合格するのは公開されている合格率より低いと思われます。

2.第15回キャリアコンサルタント受験資格別データ

 以下は受験資格別のデータになりますが、厚労省が公開している資料には合格率の情報がありませんので、筆者が追加した図表がこちらです。

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【出所】厚生労働省「第15回キャリアコンサルタント試験結果の概要」を元に筆者作成(2020.12.15アクセス)

※1 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
※2 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
※3 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者

※4 受験資格に関する経過措置対象者(厚生労働大臣が指定する講習(平成28年3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格として認められてきた養成講座)を修了した者

 ここでひとつ疑念があります。以前より受験団体(関連団体含む)はより実務的な方針へと舵取りしていると別コラムでも何度かご紹介していますが、データを見る限りいつも矛盾しています。上記の図表にある「実技試験」の②③にあたる部分が実務経験者になりますが、一般的には実務経験がないと言われている①の受験者より合格率が低いのです。学科は実務経験のあるなしはある意味で平等といえるかもしれませんが(本来は実務経験者の優位性はあるにせよ)、面接試験を含む実技試験で②③が全体の合格率を押し下げることはあってしかるべきだと思います。この事案の背景には、受験団体の巧妙なビジネスモデルが関係していることが推察できますので、別コラムにて考察したいと思います。

 最後になんとなく後味の悪い内容となってしまい、大変失礼いたしました。次回「第1~15回試験の傾向と分析」に続きます。(ジャン・一)

引用・参考文献

厚生労働省「第15回キャリアコンサルタント試験結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000704061.pdf (2020.12.15アクセス)

キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルティング技能検定:受検資格」https://www.career-kentei.org/about/ (2020.12.15アクセス)

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