ワークショップ

ワークショップをつくる

「えっ、今日の勉強会、ワークショップなの?」

企画した勉強会で、会場に入ってきたときの参加者の一言。

わかります。その気持ち。

自分も以前は、ワークショップが苦手でした。
ただ、いつからか、うまくはまったときに参加者により大きな満足感を提供できるアプローチだなと思うようになりました。

自分のファシリテーターの小さな経験から、参加者の満足感を高めるワークショップとはどんなものかを考えてみました。

1.「安全・安心な場」をつくる

カウンセリングが、素直に自分のことを話せるのは、やはり自分の素を出して話しても否定されないこと
これは、ワークショップでも同じ。

「こんなことを言ったら、バカっぽいと思われるかも」
「どうしよう。見当違いな発言をしたら・・」

といった悩みを抱えている人も多い。
初めて顔を会わせるような人と一緒に話し合うときには、さらに身構えてしまう。
今でも自分が参加者のときにはそう感じます。

なので、ファシリテーターをするときには、意見を言いやすい安心・安全な場をつくることを強く意識しています。

最近は「みなさんにお願いです」といって、次のようなことを最初に参加者に伝えるようになりました。

①他の人の意見はポジティブに受け止めよう
②マイナスよりもプラスの部分に焦点をあてよう
③意見を言うときは、具体的に指摘しよう

特にブレストのようなテーマのときには、質より量の意見が必要になりますので、強く伝えたいところですね。

他には、こんなことも意識しています。

グループワークを始める前のアイスブレイクで、場を和らげる
 アイスブレイクは、いろいろ試しているところです。参加者の年代や属性によっても違いがありますね。

前回は「実は自分はこんなことが得意です」という一言を、話してもらうことで、温かい笑いが各グループで出てきました。

続いて

・ファシリテーターのコメントは、基本すべてポジティブに返す。
発表をしてもらうときには、ちょっと大げさに「素晴らしい点」を伝えるようにしています。まずは受けとめること。
その上で、必要な質問やコメントをするようにします。

心理的な負担の少ない「安心・安全な場」であることを、早い段階で参加者に感じてもらえることを意識しています

2.「自分ごと」として考えられるテーマの設定

参加者の問題意識や、解決したいと思っている課題に沿ったテーマをセットできるか、も大切なところ。

「地球温暖化をどう防ぐ?」とか「世界平和のなんたら・・」と、いくら高尚なテーマを掲げても、参加する人たちの問題意識とズレてしまうと、場をつくることが難しくなる。

ここまでズレていなくても、例えば「これからやりたいことから、自分のキャリアを考える」と「これまでのキャリアを振り返って、自分のキャリアを考える」というテーマでも違いが出てくる。
前者は、未来のキャリアにスポットがあたり、後者は過去のキャリアを振り返ることが中心になります。

テーマの設定は、やはり参加者がどういう属性の人か、どのようなことに関心が高いのか、ワークショップに何を求めているか、などを想像して、参加者がどんな話し合いをするだろうか、といったイメージをもつことも必要ですね。

3.参加者の学びと気づきをつくる

ワークショップの難しさは、セミナーと違って場をコントロールしにくいこと。というよりも、きちっとコントロールしようとすると、まずうまくいかなくなる気がします。

参加者が答えを創り出していくと考えれば、ファシリテーターが結論のようなことを持って、誘導していくようなアプローチは、さらに場を難しくする。

とはいえ「なんでもかんでもグループで議論したものが正解」とは限らない。

アイデアの幅を大きく持って、参加者と一緒に揺れ動きながらも、参加者に「そういう考え方って、確かに大切だね」といった、深い気づきや学びをつくれるか、がファシリテータの腕の見せ所かもしれないですね。

自分にとって、参加者の学びや気づきを提供できるようになることは、大きな課題の一つです。

ワークショップが終わって会場から出てきたときに、参加者が明るく晴れやかな顔で帰れるような場をつくれるようにしたいものです。

ファシリテーターの修業はまだまだ続きます。

感じて、考えて、表現します。「そんな考え方もあるね」と思ってもらえたら幸いです。