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理論家まとめ③ドナルド・E・スーパー

スーパー

顔を見たら印象に残って覚えやすくなるって聞いたんだけど、みんな同じ顔に見えてきた…

ドナルド・E・スーパー

もともとは大学で「経営」を教えていた。
なんかドナルドって聞くとドナルド・トランプ元アメリア大統領が思い浮かぶんだけど、トランプ元大統領もビジネスから政治という別の世界に行った人だから、ちょっとそんなのと絡めて覚えてみよう。

スーパーは、キャリアという言葉は「人々が生涯にわたって追求し、社会的に占めている地位・業務・職務の系列」として、一時期の職業活動だけに限定しない、人生の生き方や人間関係、社会的役割であると考えた。
また、キャリアカウンセリングの目的は「人生における自己理解の深化と順応能力の向上、職業や人間関係、社会参加を含む総合的な自己実現を援助すること」であるとして、職業選択や進路相談に留まらないとした。

キャリアに関する特性因子理論と自己概念理論を統合させた包括的理論を提唱し、職業の関する回顧と展望を通じて自己概念が形成されていくプロセスこそがキャリア発達だと考えた。

キャリア発達理論

キャリア発達理論を唱えている理論家はたくさんいるので、その中の一人という認識でOK。

自己概念

自己概念とは幼少期から様々な経験を通して、仕事や家庭、社会などの集団の中の人間関係の影響を受けて、変化を続け、生涯を通して形成・発展させていく自分のこと。

今までいろんな人との関わりの中で、何が好きで何が嫌いかなどを観察し、自分がどんな人かを探ってきているはずで、それが自己概念と言えます。

これは自分で感じた主観的な自己概念と、他者からのフォードバックを受けて確立してきた客観的自己概念とがあり、それらが統合されて自己概念を作っていきます。

また、自己概念については2つの特徴を述べています。

肯定的自己概念:適応や成長を促し、積極的に行動できる
否定的自己概念:自尊感情が低く、消極的で意欲的でなくなる

そして、仕事における自身の価値観・考え方に対するイメージが「職業的自己概念」です。

1つの職業を選択することは、自分がどういう人であるのか、あるいはどういう人になりたいのかを、仕事を通して表現することになります。
もっと言うと、仕事の満足度は、選んだ職業を通じて、その人が自己概念をどのくらい実現できているのかだとも言っています。

経営のセミナーで言われてても「なるほどなるほど!ふんふん!」となりそうな内容ですよね。

スーパーのキャリア発達理論の基準

①ライフステージ(キャリアの段階、長さ)

スーパーは、キャリアには5段階のライフステージがあるとしました。
💡成長探索確立維持解放!せたかいか!

(1)「成長期(0~14歳)」
身体的な発達と自己概念の形成を主とする時期で、自分の興味・関心や能力について探求を始める発達的な段階。仕事に関しても空想や憧れなどの欲求から、職業世界へ関心を寄せるようになります。

(2)「探索期(15~24歳)」
色々な分野の仕事があること、それぞれの仕事に就くためには必要条件があることなどを知り、自身の興味・関心と合わせて特定の職業に絞り込んでいく時期。必要に応じて職業訓練などを始める段階でもあります。

(3)「確立期(25~44歳)」
特定の職業に就いて、責任を果たし、生産性を上げる時期。職業的専門性が高まり、この時期の中〜後半では昇進が期待できます。

(4)「維持期(45~64歳)」
確立した地位の維持のほか、さらなるスキルや知識を身につけて役割や責任を果たす時期。後半は退職後のキャリアライフについて計画を立てるようになります。

(5)「解放期(65歳~)」
退職し、職業外の新しいライフキャリアを歩む時期。

※成長期、探索期の後に確立期を少し経て、しばらくまた探索期に戻って新たな職業選択を行い、その職業で維持期に達しないことが普通になるかもしれない

マキシサイクルとミニサイクル

5段階のライフステージをマキシサイクルと呼ぶ
それぞれのステージにおいて成長期から下降期までのミニサイクルがある

ライフステージの各発達段階の間には、暦年齢にゆるく関連した移行期(トランジション)があるとし、さらにその移行期にはミニ・サイクルと呼ばれる再探索、再確立の過程があると述べている。このことは生涯キャリア発達が階段状の直線的な変化だけではなく、ミニ・サイクルを経ながら、らせん状に発達していくことを意味している。

②ライフロール(キャリアの役割、幅)

人は年齢や集団などによってさまざまな役割を演じている。スーパーはその役割を以下8つに分けて説明しています。
💡子ども学生職業人配偶者家庭人親余暇人市民

ライフキャリアレインボー

スーパーは「キャリアは一生発展し続ける」と考えた。その考えに基づいて、ライフステージとライフロールの組み合わせを虹になぞらえて図に表したものが「ライフキャリアレインボー」。

14の命題

スーパーはキャリア発達に関する研究の集大成を『14の命題』にまとめた。

  1. 人のパーソナリティ(価値観、興味、自己概念など)と能力は人それぞれ

  2. だから人はそれぞれ違う職業に適性を示す

  3. それぞれの職業も、それぞれ必要なパーソナリティや能力が異なるので、人は自分に合った職業を選べる

  4. 人の職業に対する興味や、それぞれの生活環境や、自己概念は変化するもの。自己概念は社会で学びながら変化して形成されていき青年期後期~晩期にかけて安定していく

  5. 自己概念は成長・探索・確立・維持・解放を繰り返しながら形成されていく

  6. キャリア・パターンとは到達した職業レベルのこと。経験や能力、教育レベル、個人に与えられた機会などによって決められる

  7. どのライフステージでも環境と個体の要求に上手く対処できるかどうかは、個人のレディネス(どれくらい準備できているか)による

  8. キャリア成熟は職業的発達の程度を意味する。社会的観点からは年齢に基づいて期待される課題と実際に起こる課題から定義されて、心理学的観点からは現在、起こっている課題を解決するのに必要なスキルと今自分が持っているスキルを比べて定義される

  9. ライフステージの各段階で能力・興味などを成熟されることや自己概念の発達を促進することで発達していく

  10. キャリア発達は職業的自己概念を発達させて実現していくプロセスのこと。

  11. 「個人の要因」と「社会の要因」や「自己概念」と「現実」の統合と妥協は、役割を演じてフィードバックを受ける中 で学習していく。

  12. 職業や生活上の満足は個人の能力・欲求・価値・自己概念などを適切に表現する場がどれくらいあるかで決まる。満足感は人が成長して、経験を積んで自分にとってあっていると感じられる仕事、生活に身を置いているかどうかで決まる

  13. 仕事から獲得する満足は自己概念をどれだけ具現化できたかの程度に比例する

  14. 仕事と職業は大抵の人にとってパーソナリティ構成の焦点となる。しかし仕事が偶発的であったり、仕事がない人もいるまた、余暇や家庭といった仕事以外が焦点の中心となる人もいるそれは周りの環境・社会的伝統(性別におけるステレオタイプ・人種的民族偏見)がどの役割を重視するのかの重要な決定要因になる

参考文献:新版キャリアの心理学 渡辺三枝子編著

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